シンボリズム Symbolism(象徴主義)

現代でも同じかもしれませんが、象徴主義、シンボリズムという形でまとまって紹介されたことは、日本においてはほとんどありませんでした。ほとんど切れ切れの作家の紹介として入ってきました。ピカソ以降の現代美術に比べて受けは良かったですが、ブームといえるほどのものは起きたことはありません。

ルドン Odilon Redon
まとまった展覧会が開かれたのは、ルドンが最初であったでしょう。ただ、Wikipediaにあるように象徴主義と捕らえられたことはほとんどありません。むしろ表現主義に近い作家と私なんかは思っていました。モノクロの版画の作品が多く、暗さと不気味さが漂うものです。

                 

ギュスターブ・モロー  Gustave Moreau
モローは印象派が時代の脚光を浴びている時代で、まったくのアナクロで、世間から離れてパリの屋敷に閉じこもって、神話をおもな題材とし、想像と幻想の世界を黙々と描き続けた人です。彼の自宅が個人美術館となっており、その作品のほとんどが、収納されています。画集で見ると細密画のようですが、実際にはかなり絵は大きく、それほど緻密に書き込まれていなかったのでガッカリした」記憶があります。神秘的な雰囲気はヨーロッパ人よりも日本人の方が人気が高いようです。日本人が来たと歓迎されたのを憶えています。

サロメ                                                      オルフェウス

これは随分後になってからの展覧会です。

プレ・ラファエル(ラファエル前派)
イギリスという国は美術史に登場してくることが少ない国ですが、19世紀末、モローの影響を強く受けながら象徴主義の美術が形成されます。ビクトリア美術という呼称もあったように思います。その代表人物がロセッティです。プレ・ラファエルは長く続かず解散しますが、ロセッティの弟子達が後を繋いでいきます。それがバーン・ジョーンズであり、ウイリアム・モリスです。プレ・ラファエルの運動は明治の洋画家達にも大きな影響を与え、それ風の絵画が描かれたりします。

ロセッティ  Dante Gabriel Rossetti
ロセッティと言えば女性、この憂いと、アンニュイな雰囲気を持つ女性像はロセッティの理想像で、男を破滅に追いやる「ファム・ファタル」(femme fatal=運命の女)への憧れを濃厚に持っていたのでしょう。繰り返し描かれます。


バーン・ジョーンズ  Sir Edward Coley Burne-Jones
70年頃は数点の絵が紹介されただけで、私には謎の存在でした。その後、90年頃に大きな展覧会が開かれました。それでやっと、こういう作品なのかと。もうその頃にはプレ・ラファエルへの関心も低くなっていたので、感動するには至りませんでした。ロセッティにしても、バーン・ジョーンズにしても、彼らの描く女性は美しいけれど内面性がなく装飾性の強いものでした。画家の理想的な顔かたち、姿であり、服もたおやかなものであるのが共通です。


ミレイ  Sir John Everett Millais
ロセッティと共にプレ・ラファエルの運動を開始した一人です。このシェイクスピアのハムレットを題材にしたオフェリアが最も有名です。日本での紹介はこの作品ではない小品がヴィクトリアの美術として紹介されたに留まります。


ロセッティの弟子にウイリアム・モリスWilliam Morrisが出ます。モリスは画家というよりデザイナーとして、独特のタッチ、アールヌーボーの先駆けのようなデザインを作り出した人で、インテリアや書籍の装丁などを手がけ、後世に大きな影響を与えます。

クノップフ  Fernand Khnopff
クノップフは、まとまった展覧会はなく、ベルギー象徴主義絵画展の中に数枚あっただけだと思います。日本ではほとんど知られていません。絵以外の情報は非常に少ない。クノップフもまた、「ファム・ファタル」(femme fatal=運命の女)を強く意識した画家だったと言われます。




ホドラー  Ferdinand Hodler
ホドラーも、クノップフと同様に、日本ではほとんど知られておりません。一度だけ上野の確か西洋美術館で大規模な展覧会がありました。5,6人の裸に近い男女が輪を作っている絵が特徴的です。この神話世界は何なのかは分かりません。