中でも、この「けんかえれじー」は、単純な喧嘩好きの青年(高橋秀樹)が美しい乙女に恋しながら、やがて226事件へと向かっていく姿は、当時の若者の気分を代表するようなものがありました。

〜任侠・ヤクザ・ポルノ映画〜

鈴木清順
この時代に最も評価が高かったのは鈴木清順監督です。封切と同時に大ヒットというのは、むしろ晩年に近く、この頃は後から高い評価を得る形でした。鈴木清順を特集した本が何冊か出されてから私もこういう監督がいるのかと知ったような状態でした。


けんかえれじー

春婦伝


ヤクザ映画の出現には脚本家の笠原和夫を抜きに語ることは難しい。笠原は60年代半ば頃から、東映から数多くのヤクザ映画を書き始めます。背景にある戦争体験、特に特攻隊への思いを引き摺りながら、アウトローの世界を描きます。彼の著作「破滅の美学 ヤクザ映画への鎮魂歌」は、彼のヤクザ映画の登場人物と、その思いが色濃く出ています。主にマキノ雅博、小沢茂弘、山下耕作、鈴木則文がし、仁義なき戦いでは深作欣二が監督します。加藤泰も1本あります。
マキノ雅博監督「日本侠客伝」
加藤泰
1970年前後の東映を支える映画監督で、ヤクザ映画の頂点の一つ、藤純子主演の緋牡丹博徒で、シリーズ中屈指の「お竜参上」、安藤昇主演の「男の顔は履歴書」などのアクション映画を作り出します。 大映の任侠スターだった江波杏子を東映に迎えて一種異様な怨念に彩られた復讐物語「昭和おんな博徒」。 復讐の連続殺人鬼を演じる「皆殺しの霊歌」、ただひたすら暗いと評される映画を作ります。

緋牡丹博徒 お竜参上
みな殺しの霊歌


石井輝男
まずはカルト映画から。



名声を決定付けた網走番外地シリーズ。そして晩年は実験的な映像への挑戦があり、初期のある種、胡散臭い映画作りから変容したように見えましたが、根は何も変わらない挑戦者であったのでしょう。網走番外地ではそれまで今ひとつ人気のなかった高倉健を時代の寵児にします。


網走番外地

深作欣二
深作欣二といえば、何と言っても仁義なき戦いシリーズです。ドキュメンタリー的な撮影技法と、登場する個性溢れるヤクザものの魅力が効果があり、特に菅原文太をスターダムにのし上げます。また、金子信夫の卑怯な親分ぶりは見事でした。

軍旗はためく下に

今村昌平
今村昌平は60年代の方が活躍の舞台としては大きいですが、日本的な性、土俗的な性を描き出したことで大きな影響を70年代に大きな影響を与えます。
63年 日本昆虫記
64年 赤い殺意
66年 エロ事師たちより人類学入門
68年 神々の不幸
圧倒的な存在感、強烈な光を放っています。


  上左、日本昆虫記 上右、エロ事師
 赤い殺意

藤田敏八
叙情溢れる青春ものを作り出します。秋吉久美子そして森下愛子、桃井かおりを生み出します。特に秋吉久美子は以降、日本を代表する女優になっていきます。




神代辰巳
日活ロマンポルノの雄として、四畳半襖の裏張りでは、猥褻裁判にも関わるなど話題性で引っ張りました。宮下順子を多く起用し彼女をロマンポルノ最高の女優に仕立てていきます。
四畳半襖の裏張り
濡れた欲情 実録阿部定(宮下順子)

やがて日活ロマンポルノから離れ、萩原健一を多用した青春ものを多く作り出し、高い評価を得ます。

青春の蹉跌(萩原健一)                もどり川
かぶりつき人生


村川透
村川透といえば、やはり松田優作とのコンビ作品でしょう。ハードボイルド映画として日本で新たなページ、初めてと言ってよいものを作り出します。画像は松田優作の方で。




 少し時代は下がりますが。川島透「竜二」