'70 AVAN-GARDE
OF JAPAN


1970年代 日本アヴァンギャルド 



 アヴァンギャルド芸術運動は、20世紀芸術運動を特徴づけるものです。狭くは第一次大戦前後の抽象主義とシュールレアリズム運動を指しますが、一般的には芸術の変革運動、急進的な変革を志向するものを指します。共産主義やマルクス主義との親近性から、前衛(アヴァンギャルド)が大衆をリードし、社会を変革するのだという意味を濃厚に持ちます。我が国では戦前から、欧米の影響による様々な形の芸術の変革運動が起きます。
 60年代は、戦後の芸術革新の象徴的な時代です。中でも美術(アート)の世界で顕著です。美術以外の分野でも、多かれ少なかれ変革の模索があり、ピークの時代が芸術の分野、文学、音楽、ダンス、映像など、それぞれ異なっています。先導するのはアメリカで、ビートニクで現される、体制に歯向かう形の運動が根強くありました。我が国の芸術家たち、エリートは強くかぶれていましたが、大衆とは無縁でした。
 その一方で、明治以降の急速な西欧化、戦後のアメリカ化、敗戦のショックを受けてのねじれにねじれた反米気分、それらが合わさる形で、独特の共産主義・社会主義の夢を追う形がインテリ達を支配していました。彼らにとって、60年代は全共闘やベトナム反戦運動を中心に、最初で最後の共産主義・社会主義の幻想が社会を覆うことができた時代です。

 60年代のエポックは世界的には68年に起きます。それが欧米で潰れ、我が国では72年、連合赤軍事件により左翼の奇形的な姿が露見し
、政治の季節は終了します。芸術運動は政治の季節の終わりの中で、模索し様々な形に変容していきます。それは共産主義からの夢が醒め、前衛が消失するプロセスです。この喪失は長く尾を引き、80年代の半ばにオタクが出現するまで、停滞に入ります。70年代とは60年代の総決算、前衛の最後の輝きを示すと共に、60年代の芸術運動が一部のインテリ・サークルのもの、欧米の後追い、コピーであった運動が大衆に飲み込まれ、大きく変貌していく姿です。

 このページは、分野別にまとめていますが、互いに影響しあい、浸透し、アマルガムを作っているところもたくさんあります。特に初期はその傾向が著しい。このページの作り方は、70年代、特に前半に収集したチラシを中心に構成しています。ただ、既に40年近い年月が過ぎていますので、忘れていることが沢山あります。とりあえずまとめて、後から変えています。できるだけ当時の雰囲気を再現したいと思い、後から画像を追加することもあります。これが完成版であると思わないで下さい。

 この時代に生き、観客として参加したものとして構築しています。より深い内容は専門ページに譲ります。あくまで一つの私見であり、チラシも系統的に収集されたものではありません。また、書籍などから画像を取り込んでいるページは解説のためもので、詳しくは書籍の方を参考にしていただきたい。個々の音楽、演劇、ダンス等について解説できるほどの力量は持ち合わせておりませんので、あくまで画像を中心に構築してあります。チラシの四隅が茶色になっているのは、長くスクラップ・ブックに貼られていたためです。著作権などの問題や間違った記述等があれば、メールをいただければ幸いです。
                                                                      

 この時代は芸術面で世界的で天才的な人間達が出現します。寺山修司、土方巽、荒木経惟などなどです。その人達のことは、専門のページで見ていただきたい。私が描き出そうとしたいのは、時代が激動する中で、一瞬、異形なもの達が社会の表面に浮かび上がり、ある者は成功者になりますが、圧倒的多数が再び、闇の中に消えていく、この異形なものたちへの鎮魂の思いがあります。しかし、それを表現することは難しく、わずかでもそれが表現できていれば幸いです。