暗き怒り

このページでは、名前が知られる前の情念がこもった作品、あるいは名前が出なくなってしまった作品を紹介します。

山上たつひこ(龍彦)
山上たつひこは、「喜劇新思想体系」で高い評価を受け、少年マガジンに「がきデカ」を連載してギャグ漫画の寵児になっていきました。この「光る風」はそれ以前の作品で、軍国主義の時代の悲劇を描いています。 Wikipediaによれば、少年マガジンだったことになっていますが、間違いです。高い評価と書いていますが、暗い、政治的なメッセージと怪奇性で、とてもメジャーで販売できる内容ではありません。私が知る限り読者受けも、評論家受けもしておりません。喜劇新思想体系で注目され、かつてこういう作品も書いていたのだということで、幻の作品といわれ、今でも古本屋で高い値段で取引されています。私が所有している本の出版社は朝日ソノラマです。喜劇新思想体系も最初は青林堂からです。 この時代、不遇で、売れずに苦しみ、逆転の発想で、深刻な暗い情念を、下品な笑いで吹き飛ばすことで、のし上がっていったのです。メジャー・デビューは「がきデカ」です。

光る風
これが出世作への入り口になります。

ジョージ秋山
浮浪雲など、最近は軽い話、笑いを誘う作品が多くなっていますが、デビュー当時、この「アシュラ」「銭ゲバ」など少年マガジンで異様な物語、飢餓から人肉を食べ、我が子を食べようとする話が出てくるなど、マスコミが有害な漫画として話題が沸騰し、一挙にメジャー作家になった特異な漫画家です。下積み時代が少ない人ではないかと思います。このアシュラ、銭ゲバも映画になり、TVでもドラマになり、最近、再びTVで取り上げられました。


宮谷一彦
宮谷一彦は、記憶に残る人は少ないかもしれません。Wikipediaに書かれているように70年頃、「性蝕記」で時代の寵児であったのです。名前は鮮明に覚えていたのですが、中身はずっと忘れていたのが、最近、読み直す機会があって、ああそうだなと思い出しました。焦燥感が繰り返し現れる、やるせない思いに溢れた作品です。このままの人生がそうさせたのか、ある種、破天荒な生き方に向かっていったのかもしれません。ある時代そのものであり過ぎて、年月の変遷、人々の気持ちの変遷とは別なところで生きてしまったのかもしれません。





佐藤まさあき
貸し本文化世代の最後といえる人かもしれません。ハードボイルドを基調としています。ゴルゴ13で高名なさいとう・たかをと劇画工房を作っていた時代もあります。さいとう・たかをほどメジャーにはなりませんでした。独特の暗さ、濃厚な性が大きな要因ではないかと思います。「堕靡泥の星」が代表作です。2004年に亡くなられています。



堕靡泥の星