劇画 葉隠れ(武士道)

60年代に入る頃、それまでの東映時代劇、舞を踊るような殺陣から、リアルに血が噴出し、刀が折れ、汗みどろで闘う、切腹でもリアルに血が噴出し、腸がはみ出るような描写の時代劇に変わっていきます。黒澤明監督作品が大きく影響していますが、その頃の戦国ものや武士道ものの小説も、この変化を大きく後押ししています。南條範夫の武士道残酷物語などが代表的なものです。この流れの中に60年代末から70年代の時代劇もあります。
白土三平の忍者武芸帳は、群像劇として時代劇を作ったことに大きな評価がありましたが、群像劇としての時代物はそれ以降、大きなヒットはなく、アウトローに近い形の浪人もの、股旅ものが主人公になっていきます。こうした中で漫画原作者として、格闘技やスポーツものを得意とした梶原一騎と並ぶ小池一夫の存在は非常に大きかったといえます。『子連れ狼』(画:小島剛夕)、『御用牙』(画:神田たけ志)、『修羅雪姫』(画:上村一夫)があり、中でも子連れ狼は映画にも、TVにもなり、一世を風靡します。有名な葉隠の中の「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」が時代に感応したのだと思います。理不尽な時代の流れに剣一本で立ち向かっていく姿が激しく受けたのです。

平田弘史
耐えに耐えた理不尽に爆発的な破壊という精神を最も体現したのが平田弘史の漫画であったように思います。荒々しく、豪快なタッチは当時の風潮と微妙にずれていて、大人気作家ではありませんでした。 理不尽に耐えるという気分も、今ひとつ爽快感に欠けるものであったことも影響しているのでしょう。 今、見直されているのか何冊かシリーズで出版されています。
 中でも二度と目にすることは無いだろうとされていた血だるま剣法・おのれらに告ぐも、出版されたのは驚くべきことです。内容は親兄弟を皆殺しにされた被差別部落出身の若者が、武芸で身を立てようとするものの、両手両足を切り落とされながらも、執念で復讐するというもののようです。



小島剛夕子連れ狼
当時、大人気だった作品です。映画、TVにもなりました。 子供を連れていることが大きなポイントで、武器が普通の刀ではなく胴太貫という特殊な剣であったことも評判になりました。 話の筋は小池一夫によくあるパターンというと怒られてしまいますが、それほど重要ではなかったように思います。最も早く欧米に輸出された漫画だそうです。


神田たけ志
Wikipediaでの紹介がないのは残念ですが、この御用牙や、天保銭、雀鬼などの作品があり、映画化も何本かされています。

御用牙

ケン月影
官能劇画の方に分類しようかとも思ったのですが、色に狂うというより、色を断つ方に力が入っているという感じでこちらに分類しました。年増の色気のある女性が大好きのようですが、剣を振るうスピード感もなかなかのものです。

葬流者