恐怖・不条理

 ここに示す3人は、前の恐怖・不条理のメンバーに比べて、次の世代に属するものです。特に福山庸治は70年代というより80年代から90年代の人でありましょう。丸尾も花輪も活躍の中心は80年代でしょう。ここに取り上げるのは私の趣味というべきか。この3人に共通するのは圧倒的な画力です。3人それぞれに独特の怖さがあり、他の追随を許さないものがあります。

丸尾末弘
 70年代は何と言っても左翼的な風潮の強い世の中ですが、劇的なものは唐十郎の演劇などにも見られるように右翼的な劇的なインパクトが底にあり、見世物や吸血鬼など幻影的な世界を漫画の中に取り込んできます。大ヒットとなる「少女椿」は見世物の世界で、ある種の少女の持つ夢想、貴種流離譚の世界を丸尾は描き込んでいきます。後期ガロの代表的な作家です。漫画の一場面をイラストに起こして販売されていますが、実に秀逸であり、高値で取引されています。

笑う吸血鬼

花輪和一
 70年代のガロに既に登場していて、この3人の中では最もベテランでしょう。生命感溢れるというべきかどうかは躊躇われますが、ドロドロ、ヌメッた感じ、しかも異様なほど細部まで書き込んでいく画力は圧倒的です。 話は誰でも知っている昔物語を題材にして花輪ワールドを作り上げます。あまり大きなヒットはなかった作家だと思いますが、銃刀法違反で刑務所に入った漫画が、その緻密な描写で評判になり、ようやく日が当った感じがします。映画にもなりました。

見世物小屋

花輪和一初期作品集

福山庸治
 ある種、生理的な恐怖の強い漫画を描くためか、一般的な人気は低い人ですが、独特な不気味さを愛する、かくゆう私もそうなんですが、カルト的な人気を有する人だと思います。 そんなに作品は多くはないと思いますが、累積した量は相当なものになっています。私も7,8冊所有しています。この臥夢螺館は私は彼の代表作ではないかと思っています。Wikipediaによると、最近、欧州の方で人気が高まっているとか。ファンとしては嬉しい限りです。

臥夢螺館