管理のための管理

巨大化する本部

 大手のスーパー、特にGMS本部の膨張はテンポが速い。巨大店舗の出店や、テナント募集などの自社の経営以外にも、多様な業態を抱え込むことによって、これらを管理するために、多くの人手を要するようになっている。また、通販やケータリング・サービスなどの新しいサービスの追加、あるいは24時間営業のためのバックアップなど、様々な事情から本部スタッフは増大し続けている。

 かつてライン(店舗)と本部は対等というより、ラインの方が、権限があったが、今や本部の優位は決定的である。本部のビルが聳え立ち、威圧している企業が多くなった。百貨店の方が、本店の片隅に事務部門(本社)があり、むしろ質素になってしまった。
膨れ上がる販管費の整理に各社も頭を痛めている状態で、パーキンソンの法則に悩まされる企業が多くなっている。情報システムの発展がますます本部の肥大化を促進している。そして顧客からスーパーはますます遠くなっている。


意味のない管理指標


 スーパーが月例で行う店舗や商品群ごとの管理指標を網羅した会議資料をみたことがある。B4、2枚にびっしりと数値が書き込まれ、小さなグラフが3,4個ついている。読みきれるのが、このくらいだろうということで用意されたものだが、頭がクラクラするくらい小さい数字が羅列してある。
 対前年比、対前月比、予算達成率/計画達成率、一人当り売上/利益、坪当たり売上/利益、在庫回転率、ロス率、値入率などなどが並ぶ。会議では、この上がったり下がったりする数値の説明を担当者が発表するのだが、下がった部門は針の筵だろう。胃が痛くなるような話だ。数字に振り回され、一喜一憂するとすれば、言い訳大会になるのは目に見えている。暗い会議だろうなと想像がつく。
マーケットの環境が変わっていく中で、こんな指標がどのような意味があるのだろうか。成長する時代ならば、対前年比も意味があるだろう。成長がない中では、その時々の、生鮮品の相場に大きく影響され、ヒット商品が出ていれば、極端な上下が出るのは当り前である。
 ウオルマートでは、成績が悪い店については、世界中のスタッフ全員が問題点や改善点を出し合うと書かれている。システムで解決できる問題と、人で解決できる問題は少なくとも分けるべきである。いったい何のために会議をしているのかを考えるべきなのである。ただ、惰性で、毎月、店長が集まって会議しても仕方がないのである。人に責任を押し付けて、根性論だけで乗り切ろうとするには社会も、マーケットも複雑になりすぎているのである。



気持ちの問題でしかないコスト問題

 大手スーパーの水産バイヤーから話を聞く機会があった。その感想から。
 各社の坪当り売上、経費率から、コストダウンへの強い意欲が感じられた。農水省がいう流通コスト2割削減を実現するためには、半分の1割はスーパー側が負担しなければならないだろうとも言われた。同時に、競争激化の中で、店ごとの品揃えの必要性が強調された。また、店側から消費者に向かっての情報発信、産地の思いを伝えたいとも言われた。
 なるほど素晴らしい。しかし変わらないだろうな、という思いも強い。相変わらず本部主導、バイヤー主導で何が変わりうるのか。納入業者やメーカー、生産者を叩くこと以外に、何か方法論を持っているのだろうか。

 コストを下げる方法は物流的には、ロットを大きくして納入頻度を下げることに尽きる。そして労働生産性の向上である。それはIE的な手法による標準化や作業手順の合理化と同時に、末端に商売させる、リスクを負わせると共に利益をボーナスという形で分配することにある。金儲けの味を現場に叩き込む、売上、利益の生産性が上がることを最大のポイントとすることである。

 コストを下げるには基本的に仕組みがいる。仕組みの構造的な転換がいる。社員の気持ちだけで下がるコストは高がしれている。

 金儲け、商売というのは才能がいる。才能のない人間を使うことほど無駄はない。目標管理が初めて生じてくる。バイヤーの言われることを忠実に実行することが売場主任の役割ではない。バイヤーはスタッフであることの意味が分からなくなっていると思う。