PBの失敗

PBの失敗


(以前の状況)
 最近、スーパーのPB商品が減少している。一番、多かった牛乳もPBが減少している。PB商品というのは、スーパーが消費者の目線に立って商品開発し、全量を引取る契約で、広告宣伝費や包装資材費、物流費用の削減を狙ったものである。ところが日本の場合は、スーパーの名前を冠にした、商品開発が申し訳程度、合理化もなければ、全量引取りの契約すら守らない、ほんの少し、メーカーのブランド品より安い。欧米流のPBの定義とは、かけ離れた商品である。メーカーの抵抗は強かったが、スーパーのバイニング・パワーに屈した形で、一時はかなり出回った。
 当然、メーカーは手を替え、品を替えて新商品に新たな付加価値をつけて攻勢をかけ、次第にスーパーのPB商品の販売量が減少することになる。
小売業における商品開発力の弱体は今に始まったことではない。小売業は本質的に一つ一つの商品に愛着を抱いていては商売にならないところがあり、メーカーの愛着とは水準が違う。商品が育てられない。そしてここでも客を見ないことが失敗の大きな要因である。顧客が信頼するブランドになりえなかったことが問題である。
 スーパーがPBを作り出したのも、結局は欧米のスーパーではPBが幅を利かしている、何か良いじゃないか。それだけである。本気で人材を引き抜き、体制を整え、工場を買収するぐらいの勢いがなくて、どうして成功できようか。ダイエーが昭和40年代に果敢に挑戦しただけで、尻すぼみに終わった。

(今日の状況)
 大手スーパーを中心に再び、PB商品への挑戦が始まりました。かつてのように猫も杓子もではなく、超大型のGMSに限られているのが現状です。その成否についての情報はありません。だからあまり言うことはできませんが、かつてよりはメーカーとの契約関係がしっかりしたのではないかとは思います。ただ、その他は以前と同じですから、製造のノウハウもなければ、自ら商品作りを行っている雰囲気はありません。新しい流通チャネルを開拓した気配もありません。コンビニのように納入業者の事業組合を作ってメーカーを競わせて新商品を生み出すという形でもないようです。メーカーからすれば競合メーカーに取られるよりは、マシというだけでの取組みのように思われます。あまり進歩はなく、食品スーパー辺りが脅威に感じている雰囲気もない。相変わらずバイイング・パワーを使ってメーカーからわずかばかりの粗利を奪ったという形ではないかと。


惣菜のノウハウ不足

 スーパーのPBの代表的な存在は、惣菜であるだろう。惣菜はスーパーの草創期から、今日のような形であったわけではない。惣菜が脚光を浴びるのは、今から30年前、スーパーが生鮮品のテナントを排して自前で売場を作った頃から始まる。
 当時は、売れ残った鮮魚や食肉類を揚げ物にして翌日、販売することが行われていた。これはかなり長い期間続く。すべて働いていたパートの主婦の腕に頼っていた。レシピーも何もない。一方で、チルドの惣菜、主としてポテトサラダや煮豆、佃煮などを販売するために、惣菜専門店で行われていた量り売りを、パックにして売る方法が考案される。業務用の惣菜製造業者とスーパーの合作のような形で作られたといわれる。
 牛乳などのチルド流通とは違う新たなチルドの物流ネットワークが惣菜の製造卸によって構築される。この時期は10年くらいあっただろうか、惣菜の高い粗利益率にスーパーは大いに魅力を感じ、自ら子会社を設立して惣菜製造に乗り出していく。マーケットから排除された形になった製造卸は、勃興してくるコンビニに活路を見出すのですが、それは本稿とは違うので止めます。
 さて自分で惣菜を作り始めたスーパーは、確かに粗利を自分のものにしたが、商品開発力や工場の運営力という意味では、非常に問題があった。商品開発の技術、生産技術、物流技術が、当座こそコピーし、人を引き抜くなどして対応できたが、蓄積し高めていく方法を知らない。このことがスーパーの惣菜の低迷期をもたらしたといえるのではないか。g1円の壁に泣くことになる。
 その一方で、コンビニの弁当・惣菜の爆発的な拡大で、スーパーの惣菜は大きなマーケットを失っていく。バブル不況の中で活路を探すスーパーに、アメリカでミール・ソリューションと呼ばれる惣菜のブームが起きていることを知り、必死に勉強する。そして惣菜売場は一変する。デパチカ・ブームの中で高度化した陳列、提供方法も真似る。インストア・テナントにより、専門性の高い惣菜の販売に注力していく。しかし、いかんせんロックフィールドのような惣菜は作り出せない。
 もちろんスーパーの集客力は抜群のものがあり、時代はホールものと言われる素材を買って行って家で料理することが減少する時代だから、そこそこ売れる。でも、かつてパック惣菜を作り出したような先進性を見出すことは難しい。外食チェーンの持つセントラルキッチンや、仕様書発注のノウハウも、戦略もない。コンビニのような高度な情報・物流システムもない。大きな難題を抱えながら、模索を続けている現状である。