無駄な商品知識


無駄な商品知識

 大手スーパーの、40代以上のバイヤーの商品知識は、素晴らしいものがある。卸の担当者がとても及ぶところではないほどである。実によく勉強している。驚くほどの知識は、実に詳細であり、地域特産品にまで及んでいる。ただ、ただ、感心しっぱなしであったが、ふと、売場をみた時に、確かに彼が答えたとおりに、その特産品が並んでいたが、このバイヤーの思いは消費者に伝わるものだろうかと疑問に感じた。売場の店員達にも伝わるものであるのかと。

 この莫大な商品知識は、商売とは関係が薄いのである。消費者の目線は彼の水準より、ずっと低い。分かりやすい、誰でもが知っている商品で、本来、充分ではないのかということである。美味しさや鮮度の確認は知識ではなく、店に着いた商品で評価する、まさに消費者が買う商品の評価が一番大事であるにも係らず、それが抜けている。
 バイヤーの商品知識は、消費者には関係ないことである。多くのバイヤーは初期の頃、問屋に振り回された経験から、問屋に負けまいと懸命に勉強されたのだろう。しかし、それが行き過ぎた勉強にまでなったときに、職人気質というか、人が扱ったことのない商品を売ってみたいという方向にまでずれていっている印象を感じないではいられない。
 本当に必要なことは、店に納品された商品が、その店に来るお客様のニーズに合っているかを、品質、価格の両面から検証することではないだろうか。そういう情報システムがあるという話を残念ながら、いまだ聞いたことがないのである。




品揃え恐怖症と欠品不感症

 バイヤーがしゃにむに話題性のある品目、TVCM重視で商品を拾っている、常に納入業者の尻を叩きまくっているが、一方、店では欠品が起きていても、客から文句を言われれば、頭は下げているが、是が非でも調達しようという感じがほとんど見られない。
 いつまでたっても補充されないことも多い。客の不満が、バイヤーには伝わらない。売れ筋の商品をきちんと補充する仕組みが、リスクを恐れて在庫を置かない事情も手伝って、メーカーや納入業者をせっつくことしかしていない場合が多い。もちろん、中には真面目な人がいるのは知っているが、仕組みとして不備であることに気づいていないのではないかと疑ってしまう。

 経営者の方は機会ロスを怒鳴っているが、仕組みとして機会ロスを減らすものがなければ、店員の意欲に頼るだけでは解決は難しい。欠品する、ないことの戦略がない。「ない」というのは決して非難されることではなく、むしろ、こういう理由でない、と言える戦略がない事が無駄なコストを発生させている。