開店時、全品品揃えの不合理性


スーパーには、建前の話が強く行動を制約し、コスト増を生み出す要因になっているものが少なくない。

 店が開く10時に全品、品揃えしていなければならない、ということを金科玉条のように強制していたことがある。最近でこそ、少なくなってはきたが、厳然として守ろうとしている店もある。
 生鮮食料品の用意が、とんでもなく大変になる。特に店内調理を基本としているところは、いかに仕越し在庫がある、前日に用意を整えているとは言っても、朝は6時頃からの出勤になる。納入業者がパックして持ってくる場合では、朝4時頃からの仕事になる。大変なコストである。

 しかし、いったい顧客は何人いるのかといえば、どこの店でも10数人がやっとのことである。その人達のために用意する、準備するというのは、本当に企業として必要なことなのだろうか。確かにお客様を大事にする、一人のお客でも逃したくないという気持ちは分かるが、利益とコストのバランスを明らかに崩している。品揃えでも同じことが起きている。
 厳しい競争の中で一人の客をも逃したくないという気持ちが全店に統一行動を取らせたら、膨大な無駄が発生してくるのは当然ではないか。命じるのは常に本部であり、発言権を封じた指令として店に降りてくる。コストを考えない体質が、過剰サービス競争は一スーパーだけではなく、あらゆる生産者、納入する問屋、運送業者に、強いる結果になっている。これでコストが安くなったら奇跡である。

 スーパーは何時の間にか、現場の正当な声を押し潰し、「商売」ではない、理屈だけで「経営」をするようになってしまった。