あぶく銭〜歓楽街〜

 持ちなれない金を持った連中がごまんと出たものですから、成金趣味が横溢してきます。それに付け込む連中も、また、金に溺れていきます。この漫画なんか何となくこの時代を示している気がします。描かれたのはバブルに突入する少し前のようですが。ゼビウスはゲームで、それで大儲けしたという雰囲気で描いているようです。
みうらじゅん「わいがゼビウスや」
 経験のない話なので、雑誌から引用。「我らがバブルの日々」、夏原武「競売妨害」。両方とも宝島社です。

                  
バブル紳士:
 アルマーニやベルサーチのスーツを着、腕にはお定まりの金無垢のローレックス。
 4万円ぐらいの革靴を履いて、六本木、赤坂のクラブで、ドンペリロマネコンティやレミーを抜き、豪華なフルーツ皿を並べ、着飾ったホステスに囲まれ、毎日毎晩、祝杯をあげる。
 財布には常に現金で100万円。クレジットカードもゴールドがずらりと揃い、ステータスの頂点とされるダイナースクラブのカードまで並んでいる。
 財布を開いて金を払う場面は虚栄心を満たす晴れ舞台だった。現金の束で膨らむ財布から無造作にまとめて取り出す1万円札、カードポケットのゴールドの輝き。冗談のように入っ てくる金を湯水のように、底なしで使うことの楽しさ。女を食べるのは当り前、愛人なんてのは、月々のお手当は、最低でも30万円、上は1千万円くらいが相場。それを何人も囲う。
 一晩に200万円を使っても、「おっ、今日は少ない」という調子だったのです。運転手つきのベンツやBMWに乗ってきて、ポーターにチップを10万円ずつ渡す。寿司屋に行っても板前の前に100万円を置いて、「おい、板さん、もう今日はあっちいかんでええから、ワシのとこだけおれよ。その代わり、ここ置いとくから」(宮崎学、田中森一「必要悪」)それが良い格好だと思い込んでいるバカげた騒ぎだったのです。
    

 成田離婚が流行するのも、こういう風潮が影響しているのかもしれません。

 この時代の富の象徴は携帯電話でした。最初は自動車電話が出てきて、車の中から電話して指示を出すのが格好良かったのですが、次には下の肩掛けタイプが出ました。都築さんの写真の形は見たような見ないような・・・。まぁ、これがどうしてという感じで思われるでしょうが、はしりと言うのはこんなものです。
都築響一「バブルの肖像」から

 こういう遊興に狂う感覚が世の中を横溢していたのでしょう。非常に多くの事件があったので忘れていることが多いのですが、バブルが崩壊に向かう中で次々と露見して行きます。慶応の現役学生が万引きや倉庫荒らしなどで電化製品などを盗み出して転売する事件があります。当時の慶応キャンパスの雰囲気を伝えています。キャンパスに駐車している車はベンツ、ソアラ、BMWばかり。休日はゴルフ、毎年の海外旅行は当たり前だった。

 また、両親が北海道に赴任し、兄も名古屋に就職し、一人残された大学生が、地価高騰で値上がりしていた自宅を叩き売り、賭け麻雀、競艇、競馬に明け暮れ、ソープランドやクラブで豪遊を重ねるという所業で、父親が息子を告訴するという当時、究極の放蕩息子と呼ばれた事件があります。

 世間的に大きな騒ぎになった事件には、名古屋の中学生数名が、同級生を虐め、恐喝し、その子の母親の口座から何回にも渡って総額5千万円を超える金を引き出させ遊興に使ったというものです。しかもその子は裕福な家の子ではなく、少年は家では、母親に金を要求して暴れたため、耐えかねた母親が事故死した夫(少年の父)の生命保険や預貯金を取り崩したり親類に借りるなどして金を工面していた(名古屋中学生5000万円恐喝事件)もので金額の巨額さと中学生が・・・何でという驚きでした。



銀座クラブのママ:
 バブル御三家の不動産、証券、金融の人達で銀座のクラブの1/3は占めていた。パンチパーマに、グリーンのスーツ、ワイシャツ、ネクタイまでグリーンっていう「みどり虫」みたいな人達が主役でした。地上げ屋さんは帝国ホテルあたりに泊まって銀座のクラブに通ってきて昨日は5000万円抜いた、今日は2000万円儲かった、なんて言って100万、200万の金をぽんと領収書なしで払っていきました。
 銀行が不動産屋のように金を借りてくれる人を接待するのに、料理屋の座敷で商談をまとめ、クラブで祝杯を上げるというパターンが多かった。

都築響一「バブルの肖像」から
                                                ドン ペリニヨン レゼルヴ ドゥ ラベ
倉田精二「フォト・キャバレー」

証券レディ:
 遊びは結構派手で、会社が終わって食事とか飲みに行くって言ったら、タクシー以外使わない。皆、20代でも1時間7万円とか平気で使ってます。毛皮買ったり、シャネルしたり、いいもん着てますよ。

宝島「我らがバブルの日々」より
                            ロマネ・コンティ

百貨店の制服すらもバブルの匂いが漂います。
福岡百貨店:岩田屋の制服http://nishinippon.co.jp/news/2003/iwataya/anokoro/12.html 89年当時