天空へ〜神への挑戦〜


 創世記にバベルの塔という、天を目指し神を目指した塔が神の怒りにより倒壊したという神話があります。神話ではなく、そういう非常に高い塔が建設されたのだという説がありますが、バブルが膨張していく時代に大手ゼネコンによって、予想される巨大な需要に応えようと、1,000m超級の ハイパービルディングを建設しようとする計画が相次いで提案されます。そこ構想は当時でも実現性が低い夢物語ではありましたが、バブルの気分というのが濃厚なものです。私が今頃になって、この話題を追加するのも、あぁ、そう言えばそんなことも・・という程度のものです。この下の本はたまたま古本屋の100円コーナーで売られていたもので、絶版になっているようです。表紙になっているハイパービルの図は古谷誠章氏が「ハイパー・スパイラル都市を立体化する」と題された構想で、96年4月に公表されたものだそうです。

 この計画は完全に消えたのではなくハイパービルディング研究会が継続してきた研究では地球環境に調和した高さ1,000m、面積1,000ha、寿命1,000年の縦型都市を実現することを目的とし、都市を内包した巨大建造物が構想されており、特にこの研究会が係ったことはないのでしょうが、ブルジュ・ハリファを中心としたドバイの開発が、この構想に最も近いものであったでしょう。それでも高さは828mですから、高さ1Kmに及ぶ巨大な建築物は建築家の夢であったのでしょう。

 それでは当時の建築家達の夢を。

Sky City 1000
 計画では、ビルの高さ 1,000 m 底部の幅 400 m ,全床面積 8 ku。 居住施設や商業施設、娯楽施設、公園などを建物内に集約し、建物内だけで生活できるような空中都市の実現をめざし、36000人が居住し、100000人が就業できる。高さ56mの正六角形型の凹型の段層(空中台地)を14段に重ね、下の段層を大きく、上の段層を小さくすることで全体として側面が緩やかなカーブを描くようにし、各段層の間に隙間を設けることで、強風の影響を受けにくくする工夫です。
 段層の凹んだ部分には広場を作り、それを取り囲むようなスペースを居住用などに使う。このスペースには何箇所か隙間(スーパーカラム)を設け、火事が起きた際に被害を受ける部分を最小限にし、高速のエレベーターやモノレールを走らせ、建物内の移動手段とするものでした。

竹中工務店 1989

X-Seed 4000
 計画では高さ4,000 m 水平線から 6 km 800階建。延床面積7000haに100万人が生活する。1階部分は直径6000mで上の階ほど細くなり、全体として富士山型の外観を呈し、富士山3776mを超える高さを提案しています。建設では30階100mごとに完結する形で、長期に渡る建設でも、その間に使用可能にしています。
 太陽光発電を設置したり、光、気温、大気圧などを外部に合わせる機能を持たせる。その規模から建設地は東京湾上が想定され、工費150兆円工期30年が見積もられていました。
.大成建設 1990


Shimizu Mega-City Pyramid(TRY2004)
地上基底面積 : 約800ha
高さ、階層数 : 約2,004m、8層
用途 : 業務、居住、商業、研究、文化、レジャー複合都市
想定人口 : 居住、就業人口1,000,000人
インフラ空間 : 約2,500ha

 「太陽がふりそそぎ、風が吹き抜ける」をうたい文句にした構築物のような外観で、トラス構造をしており、四角錐を上下に合わせた一辺350mの正八面体のトラスを1つのユニットとして、縦横に組み合わせながら増殖・拡大させていくもので、用途に応じた規模の立体空間を自在に構築することができるということです。パイプに見える構造体の中をモノレールやリフトが走るようです。

http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Shimizu_Mega-City_Pyramid&oldid=271286052
清水建設

Aeropolis 2001
 エアロポリス2001は、大林組が1989年に打ち出した東京湾上に建てられる500階建ての超高層ビル構想である。工費は46兆円、工期は25年かかるとされ、計画通りに建てられたとすればニューヨークにあったワールドトレードセンターの5倍で、エベレストの四分の一という高さになる。高さ2001m 500階建て。30万人の勤務者。14万人の住民。全床面積11Ku。事務所、レストラン、学校、映画館、病院、郵便局などを収容する。300基のエレベータで1階から500階までを15分で結ぶ。
大林組 1989

ミレニアムタワー
 労働、余暇、レジャーのバランスのとれた生活の展開ができるよう構想された。外周部には、12本のらせん状部材を配して、全体をネット状にした構造が特徴である。鋭く天を突くドリル状の形態である。30階ごとにひとつのブロックを形成し、全体で5ブロックある。その節目には、ショッピングセンター、コンサートホール、スポーツ施設などのパブリックスペースが配されている。
大林組+ノーマン・フォスター
底部?

DIB-2000
 高さ800m、200階建て。鹿島建設では、「超々高層への挑戦」で,200階建超々高層ビル「DIB-200」構想の紹介。アイディアでなく,技術の裏付けのある構想を打ち立てた」とあります。

鹿島建設+Sadaaki Masuda and Scott Howe.

 最もバブルらしい構想として紹介されることが多いのが、
東京バベルタワーTokyo Babel towerです。これは早稲田大学の尾島教授が提唱したもので、地上高さが10Kmに及ぶものです。その仕様は以下のとおりです。、
地上高:10,000m
居住数:3,000万人
総面積:山手線の内側すべて
建設費:3,000兆円
基底面:110km2
総床面:1,700km2
鋼材量:10億トン

 アニメのシャングリ・ラでは、 この構想がモデルと思われる高さ5000m級の超巨大建築「アトラス」が東京に建設されているという設定でした。

地下〜0m:地下インフラ、エネルギープラント、駐車場、発電機など
0m〜1,000m:住居、商住複合施設など
1,000m〜3,500m:商業、オフィス・ホテルなど
3,500m〜6,000m:教育・レジャー施設など
6,000m〜9,000m:工業・実験研究・基地施設など
9,000m〜10,000m:太陽エネルギーコレクター、宇宙開発センターなど



 まぁ、こんなものだった訳ですが、バブル崩壊によって泡と消えます。 建設業界は夢を追うどころか、不良債権化した大量の不動産に首が絞まり、多くの建設会社が倒産し、消えていくことになります。94年に結成されたハイパービルディング研究は正会員68法人、準会員22法人から構成され、13の研究部会を設けるなど活発な活動を行ったようですが、現在はネット上で存在を確認することは出来ません。