保険金殺人 和歌山毒物カレー事件、ロス事件、埼玉本庄市保険金殺人事件、久留米看護師連続保険金殺人事件

 バブルの始まる前から、保険金を目当てにした殺人事件が起きてきますが、バブルの膨張と崩壊過程で一挙に増加していきます。これも金、金が世の中を蔓延させたということもありましょうし、簡単に金を得るという風潮が招いたことだったのかもしれません。一人の人間を対象にした保険金殺人は実は多くありません。ほとんどが連続殺人、シリアル・キラーと言っても良い形で起きてきます。というのも一人だけだと、事件として認識されない場合が圧倒的に多いと思われることで、隠れた殺人は相当にあるのかもしれません。その一方で、一回殺すと、二度目、三度目はそれほど心理的圧迫が無いとも思われますし、金はどれほど大金でも使えば無くなるものでもありますから、一回じゃ終わらないという意味では、やはり発覚するものであり、隠れた部分はそう大きくは無いとも思われます。

 皆様の記憶にくっきりと残る事件からご紹介致します。なお、年月は殺人事件を起こした日が基準ではありますが、逮捕された年月もあります。また、疑惑のまま残された死亡も当時、各事件とも報道されており、実際の裁判で問われた以外の殺人とおぼしきものも数多くあり、確認されない話も、ここには一部含まれていることを承知しておいて下さい。


和歌山毒物カレー事件
 1998.8 林真須美
 地区で行われた夏祭りで、カレーを食べた住民が腹痛や吐き気などを訴え、内、4人死亡したことで有名になった事件ですが、動機なき殺人とも言われ、毒を投入した目撃者もいない中で状況から彼女しかいないということで逮捕されたものです。その彼女しかいないという理由の根拠が、保険金の詐取を繰り返してきたことだったのが特異な点で、夫を始めとして周辺の人物の多くが砒素中毒の症状を呈し、友人の一人からは死亡保険金、他からは障害保険金を彼女が手に入れているという事実から、追求されていったものです。噂では実の母親も殺したのではないかと言われましたが、長い年月が経っていて証拠が無い話で疑惑は残りました。
 林真須美は看護士をしていたこと、保険の外交員をしていたことで薬物に関する知識、保険に関する知識に精通していたことが、この事件の背景にあるといわれています。殺人による死亡保険金以外に障害、指などを切断することで下りる保険を目当てにするという意味で貴志祐介の「黒い家」で表現されたモンスターに近い像が林には付きまとっています。毒を盛られたり、傷を負わされたりする夫が真須美を心から信じている様子はなかなかのものがありました。


    
                                           このホラーは好きなんですが・・・
 この事件以降、野外のパーティでは必ずあったカレーが供されることがなくなるなど、様々な影響を与えることになります。ワイドショーが殺到した自宅は事件後、何者かによる放火で全焼してしまうのも、何か呪いのようなものを感じさせます。


三浦和義、ロス疑惑)1981
 81年、ロサンゼルス市内で妻の一美さん(当時28)を銃撃して殺害、保険金をだまし取ったとして殺人などの罪に問われますが、その後、この銃撃事件では無罪判決を受け、いったん釈放されますが、銃撃事件の前に、元女優に妻を襲わせ殴打させたとして殺人未遂罪に問われ、98年10月に懲役6年の実刑判決が確定、収監されます。
 この事件は殺害時には発覚せず、84年1月に週刊文春の「疑惑の銃弾」をきっかけに、ワイドショーや週刊誌が盛んに報じ始めて明らかになっていくもので、三浦社長が特異な性癖の持ち主であったことから、全裸写真をはじめプライバシーに踏み込む内容を競って週刊誌が掲載します。本人もこういう騒ぎを楽しむ面もあって盛んにメディアに登場し、語った内容がさらに「疑惑」として報じられていきます。「疑惑」はこの年の流行語に選ばれ、いわばTVのワイドショーそのものとなって、視聴者が何時、逮捕されるのかを心待ちにするような状況が生まれたのです。マスコミと三浦元社長の攻防戦は、日米捜査当局をも巻き込み、事件そのものを霧の彼方においやるような形になっていきました。この時に、1979年から行方不明になっていた元役員だった女性が失踪後、ロサンゼルス郊外で遺体として発見されていた事実が判明。失踪後(すでに死亡)、本人の銀行口座から三浦が400万円もの現金を引き出していたことも判明し疑惑が濃くなっていきます。85年に逮捕され、最初に述べた判決が出され、2003年に出所しますが、万引き事件などを起こして相変わらず騒がれていましたが、2008年アメリカで再度、本事件で再逮捕され、獄中で自殺し、この事件は幕を下ろします。

 まぁ、私なんかはワイドショーは見ないものですから、何が何だかよく分からないというのが正直なところで、成功者と見られた三浦氏に対する庶民の嫉妬が随分、絡んでいたようには思いました。渋谷の事務所に引っ越した時に、三浦氏の最後の夫人がやっているスナックが近くにあって、これがそうかという感想をもったぐらいです。

埼玉本庄市保険金殺人事件)1995、99 八木茂
 金融業を営む八木が自身の経営する飲食店のホステス3人に、常連客と偽装結婚させ、保険金を目当てに殺害をした事件で、2人が殺害され、1人が重体に陥ったものです。これがワイドショー・ネタになったのは、犯人である八木が203回にもわたる有料会見を行い、その奇怪な独演ショーと、八木の店のホステス全員が愛人、正妻との間の子供2人以外に4人も子供がいるというハーレムのような異様さをTV局が垂れ流したことです。彼はこの有料会見で1千万円を超える金を得たと言われています。捜査は、当初、物証がなく難航、最終的に八木の保険金殺人に係ったホステス3人の証言をきっかけに、逮捕されます。明らかに嘘と分かる悪人の発言を垂れ流すというTVの姿勢は実にひどいものがあります。

八木の愛人でありホステス


久留米看護師連続保険金殺人事件) 吉田純子 1998〜99
 http://shadow9.seesaa.net/article/112759572.htmlからの情報がまとまっていましたので、そこからの引用です。「4人組のうち1人の警察への通報がきっかけで、うち2人の看護婦の元夫が彼女たちの手によって殺害された保険金殺人事件が発覚した。 その後、主犯格の吉田純子が女王様然と3人をこき使い、詐欺を含め総額約2億円にも上る金をほぼ独り占めしていたことが発覚。また吉田が特定のメンバーにレズビアン関係を強要していたという、事件の異様な実態が明らかになった。」
 場所が九州であったので東京では、それほど大々的な報道ではありませんでしたが、看護士が医学知識を生かした殺人、空気を静脈に注射する、ウイスキーを鼻から大量に流し込むなど証拠が残らない殺人をやってのけたことと、レズビアンという特殊な関係などが注目された事件です。関西辺りではワイドショーを独占する話題であったようです。

二度目の殺人の舞台となった家

奈良長女薬殺未遂事件) 坂中由紀子 2000
 1981年に看護師の男性と結婚し、子供を3人もうけたが、93年に夫と離婚。その後、両親と子供3人で奈良市内の団地に住んでいたのですが、1997年、彼女の二女と長男が相次いで死亡。2000年には父親も不審死し、その後母親も不審死。当時15歳の長女に硫酸サルブタモールを飲ませ薬殺しようとしたところで、2000年7月に逮捕されます。動機に挙げられていたのは、複数の男性との遊興費で、その額は1000万円を超えていたといわれ、長男と次女の死亡保険金も遊興費に消えたとされています。家族を次々と殺害していく異様さは、他の保険金殺人と一線を画すものです。そんな母親を庇う子供の痛々しさは悲劇的です。看護士(この場合は準看護士)の資格を持つ加害者という構図は、女性がらみの保険金殺人に共通項ともなっています。


福岡スナックママ連続保険金殺人事件) 高橋裕子 1994、2000
 1994年10月、夫に睡眠薬入りの酒を飲ませて眠らせたところを、包丁で割腹自殺に見せかけて殺害。自殺とされて保険金2億1000万円を取得。2000年11月、内縁の夫を息子の家庭教師に手伝わせて風呂場で溺死に見せかけて殺害。事故死として処理されるが、契約していた保険金約1億3000万円の内、保険金は2700万円しか支払われず。2004年、不倫相手の男性から100万円を脅し取る。7月、脅迫容疑などにより福岡県警によって逮捕。これが原因で過去2件の夫殺しが露見。この事件も加害者が美人ママということで格好のワイドショー・ネタになります。


マニラ保険金殺人)  東榎田加代子 1994〜96
 1994年、多額の借金を抱えていた元保険外交員の東榎田加代子が、保険金目当てに前夫であるAさんの殺害を知人の会社役員に依頼したのが事件の発端です。この会社役員は更に知人である東京都豊島区の会社員に殺害の実行者を捜すよう依頼し、そこで、紹介を受けたのが松本兄弟と下浦でした。会社役員は、早速3人にマニラでAさん殺害の依頼をした結果、3人は報酬と引換えに犯行を実行します。Aさんの殺害によって、東榎田は保険金約7300万円を騙し取り、その内、松本ら3人の報酬は1350万円。これに味をしめた松本らは、名古屋の貿易商をマニラに誘い出し、3000万円の海外旅行障害保険に加入させて殺害します。だが、保険金の受け取りに失敗。更に96年、航空券の予約トラブルで愛知県尾西市の旅行会社社員(当時24歳)を拉致して殺害。クレジットカードなどを奪った後、長野の別荘地に遺体を埋めて逃走。松本ら3人は、3年間で3人を殺害。この事件の特異性はフィリピンを舞台にしていることで、当地の治安の悪さなど、代理殺人などが以降、頻発していくことになります。

別府3億円保険金殺人) 荒木虎美 1974.11
 事故を装った妻子3人を殺害した事件です。保険金殺人で全国的大きく報道された最初のケースではないかと思います。


(夕張保険金殺人事件)  日高安正、信子 1984.5
 Wikiから、「1984年5月、北海道夕張市内の炭鉱労働者のための宿舎の食堂から出火し、宿舎内にいた子供2人を含む6人が焼死し、消火活動をしていた消防士1人も殉職する惨事となった。当初は不慮の事故として、保険会社は当該宿舎の所有者であった炭鉱に労働者を派遣する会社経営者夫婦に対して火災保険金及び死亡保険金として約1億3千万円を支払った。
 しかし実際には、この会社経営者夫婦が、同社の従業員男性に報酬を約束した上で放火させた事件であった。そのためこの男性が、報酬を支払われないことに対する不満、また口封じされることへの恐れから警察に自首し、事件が明るみに出た。」

火災現場

フィリピン水死偽装保険金詐欺事件 森隆
 まぁ、これは殺人が絡んでいないので、一瞬で忘れられて事件ですが、長男や知人の男性と共謀し、保険金六億四千二百万円を詐取することを計画。平成七年一月十一日、マニラ湾で見つかった身元不明の水死体を使って自分がジョギング中、海に転落、海岸で水死体で発見されたように装ったものです。海外が絡み、しかもフィリピンということで他にも何件か暴力団や会社ぐるみでの犯罪事件もありました。日本人が保険金殺人を企んで、前もってフィリピン人の殺し屋を雇い、被害者を日本から連れてきて、殺して貰うはずが、結局は主犯格が殺すというパターンで、フィリピンでは銃が簡単に手に入るとか、殺し屋が沢山いて、簡単に引き受け、警察も金さえ渡せば、とかの変に悪のイメージがありながら、実際に悪いのは・・・


長崎・佐賀連続保険金殺人事件) 山口礼子 1998
 夫の派手な生活に不満を抱いていた山口は、愛人が事業やギャンブルで多額の負債を抱えていることから、保険金目的で夫の殺害を計画。病院から入手した睡眠薬をカレーに混入し眠らした後、海に投げ込んで殺害。9000万円の保険金を受け取った。保険金の殆どは愛人に渡り、借金返済やギャンブル、派手な遊行費で使い果たす。そこで、山口の子供達に保険金を掛けて同様に殺害を計画。山口は、それまでにも相続した田畑の売却金5000万円、消費者金融で1000万円の借金をしてまで貢いでいた。が、愛人は全てギャンブルで使い果たしていた。
 自分の子供を殺害することには難色を示したが、脅迫に近い指示の下、次男に睡眠薬を飲ませた後、海に投げ入れたが、次男が泳いで岸壁にたどり着いた。この時、山口は次男の頭を押さえつけて「水中でもがくのを押さえつけた」という。山口は次男のほか、長男(当時19歳)に4000万円、長女(当時10歳)にも2500万円の保険金を掛けていた。その後の警察の調べで、長女に何回か睡眠薬を飲ませるなど、殺害を計画していたことが判明した。


トリカブト保険金殺人事件) 神谷力 1965、83、86
 神谷は職を転々としながらも結婚を3回繰り返し、全て妻が突然死しており、
@1965年2月:看護婦の山下恭子さんと結婚。昭和56年7月、「心筋梗塞」で死亡。
A1983年10月:山田なつ江さんと結婚(昭和47年から神谷となつ江さんは不倫の関係にあった)。昭和60年9月、「急性心不全」で死亡。保険金1千万円受け取り。
B1986年2月:工藤利佐子さんと結婚。同年5月、石垣島のホテルで発作を起こし死亡。「急性心筋梗塞」と診断される。

 工藤利沙子さんに対して、2億円近い保険がかけられていたことから、疑惑を持たれ、トリカブト毒が即効性であるのに、神谷が離れてから2時間たってから死亡している事で、難航、遅効性のあるフグの毒をトリカブトの毒に相乗させることで時間調整が可能という結論で逮捕された事件です。推理小説のような展開が反響を呼びます。2人の前妻についても当然のように疑われましたが、証拠は出ませんでした。

 量が多くなってきたので、事件とリンクだけにします

高知(室戸)保険金連続殺人事件 2人殺害 合せて8500万円 1987、2002

○愛知・保険金連続殺人事件 2人殺害 3億円 1979

○福岡保険金偽装殺人事件 2人殺害 1億円 1990

○名古屋保険金連続殺人 3人殺害 1979

 保険金殺人は、我が国独特とも言われる生命保険に起因していると言われます。特に事故で死亡には2倍、3倍の保険料が支払われる契約があり、保険会社の営業(代理店)へのノルマを課す営業方法が、このような保険金殺人を引き起こしたともされます。それにしても身近な人間に障害を負わせ、あるいは殺人を繰り返す「業」の深さは凄まじいものがあります。

 その後も、この手の事件は後を絶ちませんが、次第に保険金というよりも殺人への快楽が強まっていくようです。この時代の連続殺人は若者が中心になったものですが、21世紀に入る頃から、中年のオバサンによる連続殺人が目立つようになります。一応、金が目的の部分も強くあるので、このページに掲載しておきます。

○結婚詐欺 婚活にからむ連続殺人 木嶋佳苗 3人殺害 1億円 2009
 
 周辺で6人が行方不明になっており、立件されたのが3人。肉体と結婚をちらつかせて男たちから1億円以上もだまし取り、3人の男を練炭で殺害したとして死刑判決。平成の毒婦と呼ばれる。

尼崎大量殺人事件角田美代子
 25年以上にわたって、尼崎市を中心に兵庫県、高知県、香川県、岡山県、滋賀県、京都府の6府県で、複数世帯の家族が長期間虐待、監禁され、複数名が殺害された連続殺人事件。事件の主犯、角田美代子は事件発覚後に自殺し、事件の闇は完全に解明されることはなく、終結した。死者、行方不明者は10人を軽く超えており、未解決事件簿によれば13人が死んでいます。
 あまりにも残酷な事件であったことや、犯人が在日韓国人であったことなどのために報道規制が行われたとも言われています。何故かWikipediaにも角田被告の名前が伏せられています。