バブル最大のスキャンダル
 イトマン事件は、清水一行が書いた虚業集団などの小説にぴったりというほど、闇の勢力によってイトマンという中堅商社が骨までしゃぶられる、バブル期最大のスキャンダルです。

 この事件によって、天皇と呼ばれ、住友銀行の中興の祖ともいわれた超ワンマン経営者であった磯田一郎頭取は、無惨な形で社会的に追放される。そしてイトマンをめぐる闇の中心にいたのが、闇の帝王と呼ばれ、関西の裏金融界のボスであった許永中であり、許に深く係り、イトマンの常務として、イトマンの資産を食い潰す最前線に立って活躍する企業舎弟の伊藤寿永光、そして旧住友銀行の役員であったイトマンの社長河村良彦。この4人組こそが闇の中枢を形成します。

  
許永中                                                伊藤寿永光
磯田一郎 イトマン 河村義彦

 詳しくは、このHP、「住友銀行により百十年ののれん≠ヘ、かくして引き裂かれた」―― イトマン抹殺の軌跡を法廷証言を交えて検証する ――野木昭一著  が良いと思います。

 この事件は広がりが非常に大きく、雅叙園観光、近畿放送(KBS京都)、 関西新聞、大阪府民信用組合などが闇に飲み込まれていきます。 リゾート、ゴルフ場開発あり、不動産取引、絵画・貴金属取引があり、バブルの投機物件が勢ぞろいする姿はある種、圧巻ともいうべきものです。 その発端となったのは、許とイトマンの間で繰り広げられた絵画取引とされ、取引件数211点、557億円に昇るもので、仕入れ値の3から5倍もの、それこそ言い値でイトマンは買っていくのです。 その取引は磯田頭取の娘から始まり、西武百貨店から買い集めた絵画であったことが、セゾン・グループの闇の一部を構成することにもなります。
 イトマンの債務1兆2千億円の内、3千億円とも6千億円ともいわれる金が闇の勢力に渡ったとされます。 竹下、亀井などに渡った政界工作資金もまた、膨大なものがあったとされ、いまだ、その謎は解き明かされることなく消えています。
 逮捕後、許は6億円の保釈金を払って出獄、そのまま韓国に逃亡、逃亡中にも石橋産業事件などの事件に関わっていく。この許と兄弟のように親しかったのが亀井静香議員であったことは有名な話です。

 雅叙園観光についてWikipediaに掲載してあった内容を紹介しておきます。
横浜ドリームランド、千日デパート、大阪新歌舞伎座、大阪松竹歌劇団(OSK)などを開業した「昭和の興行師」こと松尾國三1984年死去後、夫人である松尾波儔江と経営陣との間に経営権を巡る争いが起こった。 経営陣はこのとき仕手集団のコスモポリタンを率いる池田保次と結託して自社株を買い占め、松尾一族の追い出しにかかった。 松尾一族もこれに防戦。結局1987年に経営陣が雅叙園観光を、松尾一族が日本ドリーム観光を経営する事となり、両社の提携関係は解消した。 しかし、この時までに松尾側には松尾國三の盟友・ダイエーの中内功が後方支援を行い、結局中内が松尾一族から経営を肩代わりする事で日本ドリーム観光はダイエーの傘下に移った。
 一方、雅叙園観光はコスモポリタンの手に落ちたが、このコスモポリタンが実は暴力団系の会社で、1988年仕手戦に敗れて破綻。池田は雅叙園観光の融通手形を乱発して自身の資金繰りに充当するが、結局池田は失踪。その後イトマン事件の主人公である許永中や伊藤寿永光といった「闇の紳士」達が経営権を握り、同社の経営は迷走。1992年には決算時に監査法人から不適正意見が出されて上場廃止の危機に追い込まれる。結局1997年雅叙園観光は倒産した。(なお、雅叙園観光と目黒雅叙園は全くの別会社であるが、目黒雅叙園も2002年に倒産している。)
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E8%A6%B3%E5%85%89" より一部修正