鬼畜・電波系・悪趣味


この時代に奇怪なブームが巻き起こってきます。美術系で強度な残酷趣味が出てきます。連続殺人鬼を賛美し、殺人現場の写真などが出版されてきます。首を切断された死体、片腕が路上に転がったもの、あるいは交通事故現場写真など、
屍体写真が堂々と紙面に登場し、その雑誌が売れまくる。グロテスク趣味が蔓延します。これは欧米と日本のみで流行するのですが、特に日本での流行は異常なまでに、昂進していきます。清潔の中で隠蔽された形が露出する衝撃が一番大きかったからかもしれません。一部のマニアの中で、新たな芸術表現であり、性表現になっていくのです。古くは雑誌「夜想5 屍体特集」がありますが、この時代はそれが強度に励起し、何人かの時代を象徴する人間が出てきます。

法医学や解剖学への関心の高まりは、養老孟司さんや監察医であった上野正彦さんの著作をミリオンセラーにのし上げていきます。その後から、養老さんの弟子筋に当たる布施英利あるいは山口椿のようなグロテスクを主題にした著作が出てきて、これもマニアにはよく売れる本になります。

 畸形的な性を蒐集する思想家とも言うべき秋田昌美もこの時代を形成する一人です。ノイズ・ミュージックの日本における第一人者でもあり、この人の時代の嗅覚は独特のものがあります。

滝本誠の「きれいな猟奇」はリンチからトンプソンまでと副題に付けられていますが、時代に共通する狂気を描いています。あまり売れた本ではなかったかとは思いますが、印象に残ったので、ここに掲載しておきます。


この時代背景から、文章だけではなく、突出した人物が出てきます。
その中の一人が死体写真家として名を馳せる釣崎清隆です。

 死への関心は世紀末感覚と合わさって世界的なブームになっていきます。Black MetalあるいはDeathRockの登場は80年代からですが、より深まっていきます。

DREAM EVIL - The Book Of Heavy Metal

Lordi

Cannibal Corpse - "Make Them Suffer" Metal Blade Records


 また、ゴスロリ(ゴシック アンド ロリータ)と呼ばれるファッションが広まっていきました。


ゴミ漁りの人。「電波」という言葉をメジャーにし、「鬼畜」という言葉に新たな意味を与えたとされる村崎百郎
も、時代が生んだとしか言えません。




境界性人格障害強度な精神障害を抱えながら、舞台で自殺を敢行し、強烈なドMのパフォーマンスで観客の度肝を抜く卯月妙子もまた、時代の生み出したものです。エロゲーの最たるものであり、旦那と組むSMは究極のものではないかと思われます。やってることの凄まじさに比べて素顔は自らの漫画のヨレヨレではなく、結構、美人なんですが・・・。


他人様のレスですが、経歴をはしょって表示。二十歳、男児出産。漫画家としてデビュー。同時に、SM、スカトロをメインに、グラビア、AVで活動。’95.12/24,夫、投身。以後’97.7月まで植物状態の後死去。慰霊の意味を込めて、背中に三代目彫りよしによる刺青『第六天魔王』を彫る。二十五歳、AV監督を務める。代表作『実録第七病棟』。その後、挿絵、エッセイ、私小説ギャグ漫画等で活動。 二十七歳、AV業界の舞台裏と、自殺した夫、息子との貧乏生活を描いた漫画『実録企画モノ』を、太田出版より出版。SMストリッパーとして、緊縛師・有末剛とのコラボレーションを開始。緊縛師・有末剛と、息子のシゲルとの、奇妙な疑似家族生活を元に漫画『新家族計画』を発表。その後、持病の統合失調症が悪化、精神病院に入退院を繰り返す。都内某劇場にて、喉を刃物で切り裂くという公開自殺を行う。静脈を切断し、三日間意識不明であったが、一命を取り留める。(以下、略)

 ここにも出てきますが
緊縛師というものが職業として出現し、パフォーマーとして舞台に立つ、あるいはSM的な緊縛をした写真集が販売されるという、一昔前では考えられない事態が起きてきます。90年代末ぐらいからパフォーマンスが開催され、次第に緊縛師も増えていくことになります。下のパンフは2013年のものです。


そして女装趣味のおじさんキャンディ・ミルキーさんもまた、強烈な存在感によって世に知られてきます。変なおじさんなんですが、TVにもゲスト出演する人気者(?)になります。一時は女装雑誌の編集長もしていたようです。以前は、専門ホームページもあったのですが、今は閉鎖されています。キャッシュで一部、見ることが出来ます。

「西原理恵子の人生1年生」の第2号に、卯月さんやキャンディさんなどの濃い対談が掲載されています。さすが西原さんの世界ですが、中身はさすがに突っ込めないため、物足らない??

西原さんよりも、この手の雑誌の過激さは、マニア向けであることから、凄まじい。しかし、飽きられたのでしょう、発刊は1995年ですが、10年以上、経った今、市場から消えました。もうこの手は無理というか、ポルノ自体の関心が急降下しています。


Torture Garden
 残酷への強い指向は日本ばかりではありません。同時代的な世界的な広がりがあり、特に欧米がリードします。Torture Gardenは90年のスタートで、フェティシズム、パフォーマンス・アート、モダン・プリミティブの3つの要素をクラブ・イベントの中核としたものです。ただ、日本での紹介は非常に少ないものです。私も本でしか見たことはありません。SMの傾向が強いものです。

 こちらは2001年の日本公演から。1800人の観客が集まったそうで・・・・。

 こちらは翌年の再来日でのパフォーマンス。
BURST 2002.6

 上はフック貫通身体吊り下げショー、右上はファイヤーダンス
 20歳で芥川賞を取る金原ひとみの題材も、また、この世界のものです。同時受賞した綿矢りさが、普通の文学者人生を歩みますが、こちらはそう簡単ではなさそうです。