地方衰微 : シャッター通り

 今では珍しくもない光景になっていますが、駅前や中心市街地にあった商店街が、郊外に大型店ができて、お客が吸い取られるようになると、次第に衰微していきました。日本全国隅々にまで自動車が普及し、地方では、いつの間にか車なくして生活できなくなったことが大きかったのでしょう。鉄道もバスも赤字になり、赤字を防ごうと便数を減らすことで、便宜性をなくし、公共交通機関の全面的な縮小が地方を静かに蝕んでいました。
 地元の商店主は、このままではいけないと、駐車場の整備などを行政と一体になって商店街の振興に取組んでいましたが、効果は限定的なものでした。それでも何とか生きようとしていました。ここにバブルが直撃します。地価が猛烈に高騰していき、銀行が貸出競争を行います。その波の中で老舗の店では改装や増築などで顧客を取り戻そうという努力をしたことが、バブル崩壊の大津波で仇となります。
 投資が足を引っ張って借金が重圧になります。そして金融機関の貸し渋り、貸し剥がし、地域の信用金庫、信用組合の倒産が追い討ちをかけていきます。
 商店街を作っていた老舗が潰れると、一挙に商店街が崩壊し始めます。そこに進出していた百貨店などの撤退は、大型店舗なるが故に、その後を埋めることが敵わず、巨大な廃墟を晒すようになりました。急激な顧客離れを起こしていきます。この惨状は全国的なもので、日本中の地方都市でほぼ、全面的な崩壊現象が現れます。

岐阜柳ヶ瀬通り
 明かりが点いていても、寒々しい光景はやるせないものであり、治安の悪化を気にする事態に進み始めています。

千葉県八街市                                    岡山県玉野市

草津市                                                       東京亀有近くの東和銀座商店街::新刊慎重2010.12.30号

 人口は変わらない、つまり需要は変わらないけれど、進出した東京や大阪の大型店に地方の需要はチェーン店の本部に吸い込まれ、地元にはお金は戻って来なくなりました。消費者が便利さ、簡便さを求めた結果、生まれたのは地域の衰微だったのですが、そのことに気づいた行政はどれだけいたでしょうか。たとえ気づいても、もはやどうすることもできない状態になっていたでしょう。
 地域の衰微は、雇用の喪失を生み、若者は都会、中でも大都市に向い始めます。地方は残された高齢者の大波も受けることになりました。税収も上がらず、財政は福祉予算に飲み込まれていきます。地域に残っていた農水産業も輸入品の攻勢に価格は上がらず、デフレの影響で収入ががた減りしていきます。地方には、若者が働ける職場は、公務員か、介護の仕事しかない、と言われるようになったのです。

 この凄まじいシャッター通りの全国的な氾濫は、地域の商業だけでなく産業、そして社会の大いなる地殻変動を招き、再度、あらゆるものが東京に集中し始めます。東京は高層マンションが林立し、地方から殺到する若者達を吸収していくのです。