バブルを吹き込む〜リゾート計画&オフィス需要予測〜


 リゾート法とは、正式名称 総合保養地域整備法といい、1987年5月に成立します。
 この法律の目的は、
  ・ゆとりのある国民生活
   ・当該地域の振興
   ・国民福祉の向上
   ・国土や国民経済の発展
をうたい、リゾートの事業に関わる道路・交通・下水などや、公共施設の設備などのリゾート施設設立に対しては、地方自治体による援助があり、農地転用、林地開発などの規制が緩和されました。このリゾート法の制定を受けて全国の自治体から膨大な数の開発計画が提出されるのです。
1991.1現在
 あぶく銭「テーマパークだらけ」で述べるように数百のテーマパークの計画があったように、大型開発が目白押しの状態で提出されます。欧米並みのリゾートを合い言葉に、超高級リゾートが計画され、そして相当数が建設されていきます。既存の観光地、名所の開発もありましたが、何もない広大なエリアを使った開発もあります。多くが複合的な施設開発になります。
 例えば、アルファ・リゾート・トマムの例では、スキー場+テニスコート+ゴルフ場+ホテル+リゾートマンション+プール


北海道 アルファ・リゾート トマム(ホテル開業1987年 破綻98年)

 このトマムの原モデルともいうべきものが、安比高原スキー場の開発でした。リクルートは、80年代半ばから拡張し、ゴルフ場や高原牧場を備えたオールシーズン・リゾートであり、89年にはシンボル的な安比グランドタワー・ホテルも完成しています。バブル景気や四駆ブームの頃、首都圏ナンバーのクルマにウサギのマークと「APPI」と切り抜かれたステッカーを貼るのがお洒落であり、流行したのです。当時は、苗場や湯沢、白馬のスキー場は当たり前過ぎてダサく、安比か北海道、海外(アラスカ、カナダ、スイス、オーストリア)でないと威張れない時代です。
 

岩手 安比グランド・タワーホテル                                              安比ブライダルステージ

 大型リゾート施設の代表例は、長崎のハウス・テンポスであり、宮崎のシーガイアです。これらの内容については、それぞれのところで述べていきます。

宮崎シーガイア


 この経営資料集の値段の11万円はともかく、内容自体も、さほど事例調査に金をかけている雰囲気もありませんから、実にバブル的です。

 この時代の月刊レジャー産業を読むと、様々な種類のリゾート施設が計画され作られていることが分かります。その一つが現在も営業しているSPAリゾート中沢ビレッジ「テルメテルメ」があります。ホテル、温泉、アウトドアを組み合わせ、景観を重視したスタイルはバブル時代を象徴するものです。

月刊リゾート産業資料1992.2
 その他に既になくなったサーキット&ガレージをテーマにした東京町田の「Daytona Park」(敷地1712u、総工費5億2千万円)、愛知県一宮市の複合大型レジャー施設「The MEIJI」敷地面積1万1819u、総工費24億円ではシミュレーションマシンのあるサンサーカスやボーリング場などが設備され、また、リゾートをテーマにした生活展示場を木曽三川公園内に「浮ろーと愛らんど」(敷地4ha)を建設する話が、この号で掲載されています。浮ろーと愛らんどはまだ、存在しているようですが、訪問した記事も写真もない。シネコンが建設され始めるのも、この時代です。

チネチッタ(川崎のシネコン87年開場)

 リゾート法の制定は、ゴルフ場開発ブームやリゾート・マンションブームが引き起こしていきます。そしてバブルのきっかけになったのは、リゾート法と並んで、国土庁が85年に出したオフィス需要予測でした。内容は極めて雑なものでしたが、東京が世界の金融センターになるのだとか、当時の日本の勝ち誇ったムード、アメリカから何も学ぶことはない、逆に教えてやるのだ、21世紀は日本の世紀だ、に後押しされ、疑うことが少なかった。世界の中心になる東京を中心に、膨大なオフィス需要が発生するというものでした。 詳しくはこちらにどうぞ(真説・土地バブル)。これを受けるように各地でコンベンション・ブームが巻き起こります。その代表が幕張メッセ(89年開場、21万7千u))であったでしょう。
幕張メッセ
 土地利用や建築規制の緩和により、都市再開発ブームが巻き起こり、地価が異様に上昇し始めます。地価は戦後、一貫して上がり続けており、物価の数倍、上昇しており、当時、地価が下がるなんてことは、空が落ちてくるようなもので、誰一人考えてもいませんでした。その中で地価が上昇し始め、天井知らずの上昇を見せるようになります。
地方のリゾート開発も、全国41道府県、42構想が承認され、実に全国で9000の施設の建設が計画されるという未曾有の事態が起きるのです。

 もちろん、これは87年にすべて起きたわけではありません。私ら庶民は、まだ、気づきません。何か景気の良い話が持ち上がっているな、という程度です。
やがてマンションの転売で過去の借金をチャラにした上に、大きくて広い所に移れた、一戸建てに移れたなどの情報が漏れてくるようになります。そして都会の中で古い住宅地や商店で、大規模開発で家を売って、べらぼうな金が入った、抵抗した人は強引な、金で横っ面を張り飛ばされる話が出てきます。やがて「地上げ」と呼ばれるようになります。この話の詳しいことは「投機」A土地:買占め・地上げを参照してください。都市開発のニューコンセプトについて論文がありましたのでリンクしておきます。