投機〜海外を買い漁る〜


 投機は実需の何十倍、何百倍の膨大な需要を創り出します。眼を眩むような需要が、それがいつか値が下がるものだということを忘れさせるのです。土地の投機の主役は個人ではありません。企業です。1984年の企業の土地投資は4150億円にすぎないのですが、90年には13兆170億円に膨れ上がります。実に30倍。84年から90年の間の土地投資額の累計は42兆円にのぼり、企業のバランスシートに42兆円の資産を積上げる。バブルがはじけた時に、42兆円がおよそ1/3に下がり、30兆円が無になるのです。不良資産に、銀行と共に七転八倒する、失われた10年が始まる。

 バブル期の投資の特徴は、設備投資もありましたが、世界最新の設備を整え、我が国だけで世界の工業製品の半分近くを生産できる能力を有し、既に充分過ぎる力にあふれていた。このため土地投資の大部分が本業とは無関係のリゾート開発に向かいます。国内での数百箇所のリゾート、テーマパークが建設されたことは、述べましたので、ここでは海外投資に話をいたしましょう。


ロックフェラーセンター

 ありあまる金によって、次々と海外の土地、ゴルフ場、ホテル、会社を買い漁っていく。アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパなどなど、際限がない。買い漁りの最初は、ダイエーのハワイにあるアラモアナショッピングセンターかもしれません。アメリカの保険会社と一緒に買収をします。82年のことです。95年に、つまりバブルが既に崩壊しているにもかかわらず95年に株の全取得を行い子会社化します。しかし、そのわずか4年後の99年、ダイエー再建三カ年計画の目玉の一つとして約1千億円で売却されたのです。
 買い漁りの
主なものでは、
     三菱地所:ロックフェラー・センター 89年 2200億円
     任天堂:マリナーズ 92年 1000億円 
     松下:MCA 91年 61億ドル
     ソニー:コロンビア・ピクチャーズ 90年 3700億円
     コスモワールド:ぺブルビーチゴルフリンクス 1250億円
その他、東武百貨店の高級ギフト専門店ガンプス、ツムラが化粧品メーカーのミネントカの芳香剤部門、京セラが電子部品メーカーのエルコグループ、藤澤薬品が中堅医療メーカーのライフォメッド、三井物産が大手加工油脂メーカーのウィルシー・フーズの食品部門等々があります。
 これらに加えて、バブル紳士、やがてAIDSといわれ、バブル崩壊後の疫病神のようにいわれた連中やら、世界一の金持ちに祭り上げられた堤の西武グループ、セゾン・グループなどが群がり、アメリカの心を、オーストラリアの心を、金にまかせて買ったと激しく現地の反撥を招く事態になっていくのです。その憎悪が、やがてバブル崩壊後のマネー敗戦、第二の敗戦と呼ばれる深刻な、金融恐慌の恐怖に苛まれる事態に発展していく。



ペブルビーチ・ゴルフリンク

 都築響一さんの「バブルの肖像」に記載されていた横井英樹に絡む話です。横井もバブルの波に乗ってヨーロッパで不動産を買い漁っていきます。ロンドン郊外テーム・パークを手始めとして、サリー州のジェニパー・ヒル、スコットランドのグレナップ城、スペインのファルグレラ・パレス・・・なんと言ってもフランスのシャトー買収でロズリー城を始めとしてフランス全土の9つのシャトーを4年間に買い占めてしまう。
Glenapp Castle
Chateau de Rosny-sur-Seine-
 ロズニー城はフランスの歴史的建造物であり文化遺産として修復維持することが約束させられたにも拘わらず、文化財である家具・調度などを売却、横井の諸子キイ子は逮捕、収監される。城は盗難などに遭い存亡の危機に瀕することになり、最終的にはホテル・チェーンに買収され再生することになりました。その他に横井はエンパイアステートメント・ビルを一時購入、大きな騒ぎを巻き起こしています。