投機〜ストック・インフレーション〜

  
今は亡き長銀本社ビル(現、新生銀行)                     HEP5ビル(大阪)

宗教法人の売買
バブルによって生まれた巨額な金をどうやって隠すかがバブル崩壊前から大きなテーマになっていました。バブル後期には、宗教法人に対しては無税であることに眼をつけての話です。宗教法人の売買を行うブローカーが登場します。ここにも暴力団やら、胡散臭い連中が殺到します。宗教法人を使ったマネーロンダリング、寄付して戻してもらう仕組みまで考案されるのです。

B/S、P/Lの毀損
ストック・インフレーションと呼ばれたバブル期、そしてバブル崩壊によるデフレ期は経営に何が起きたかを勉強しておきましょう。

バブル期に投機をしなかった企業においても、バブル期やバブル崩壊のストック、所有していた株式や土地、ゴルフ会員権の暴騰暴落は、企業に大きなダメージを与えています。バブル頃から会計の国際化、グローバリゼーションに備えて、ストックの評価を買った時の価格ではなく、現在の価値に引き直せ、という海外の投資家からの要求が強くなります。購入した価格と現在の価格との差異、いわゆる含み資産ですが、日本の場合はインフレと高度成長で、歴史のある企業ほど、膨大な含み資産を抱えていました。含み資産が分からなければ投資対象を評価できない、まあ当然の要求でした。

さて、企業は毎年、バランスシートという資産、負債、資本の一覧表を提出する義務を持っています。資産=負債+資本(利益を含む)、これは高校でも習ったでしょう。資産の価値が暴騰すると、負債、借金できる余地が急激に上昇する、あるいは見かけ上の利益、実際に仕事で得た金でない利益が極端に膨張し始めます。このため企業は土地などを、ある意味で買い進める、あるいは海外の会社の買収を進めざるえない状態になるのです。これが企業のインフレ期の特徴です。

バブルが崩壊した時に何が起きるかというと、資産が急激に小さくなりますから、バランスするために負債を減らさなければならなくなる。資本を食い潰すほどの赤字が出る。資本を食い潰したら会計上、倒産に限りなく近い債務超過になるのです。これは実際の業務とは無関係に出てくることが特徴です。

バブル崩壊後に政府がべらぼうな公共投資をやって景気回復を目指しても、企業は投資よりも負債を如何に減らすかに必死になっていたのです。銀行も、企業の資産と負債の関係は逆になるのですが、政府から資金注入を受けなければ、下落した資産価値分を埋められなかったのです。

バブル期に無茶苦茶な投資を行った銀行などが倒産していくことは当然の報いというべきものですが、ストックの激しい上下動は、経営面では、本業とは別の、舵取りを難しくしている、それが今日、ファイナンス・プランナー、あるいはファンドという仕事が注目される理由でもある。

BIS規制
銀行には、この他、豊富な資産を背景にした海外のユーロなどの独占的な運用により、海外の金融機関は悲鳴をあげます。主に日本の銀行をターゲットにしたBIS規制が国際間で論議され、好景気による株高に浮かれた日本の金融界は、それを受け容れます。
バブル崩壊で保有する株式の急激な暴落によって、BIS規制にひっかるようになり、海外での取引に支障をきたす事態に追い込まれていきます。それが貸し渋り、貸し剥がしを引き起こし、倒産を連発させる状況が、益々、金融機関を追い詰めていくことになります。圧し掛かる不良債権問題に日本国中が喘ぎ、金融恐慌の不安が蔓延することになります。