投機〜ゴルフ会員権:詐欺〜


 バブル期の膨張には、詐欺が横行しています。皆が金に血眼になっているのですから、ひっかけられる方も欲得なしでいたのに、やられましたなんてのは、滅多にある話ではありません。詐欺師達にとっては、これほど大金が、ほいほい入った時代はないでしょう。普通のサラリーマン達、金融・不動産に勤務する連中は、詐欺師のお先棒やら、率先して詐欺行為を働いていた時代です。絶対に上がるとか、税金、特に相続税ですが、払わなくて済むとか、まあ歯の浮くような話なんですが、回りの熱狂に煽られるのも、これまた、ある面、同情すべきかもしれません。
  
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 その中でもゴルフ会員権くらい、紙ペラになったものはないでしょう。ゴルフ会員権というのは、もともとはゴルフ場の利用権みたいなもので、プレー料が安くなる(ただじゃない!!)、予約が取りやすい程度の代物で、ゴルフ場に預けておく金で、期限が来れば返される(利子はつかない)ものです。昔はゴルフ場も少ない中でゴルフ・ブームというか、ビジネスの接待に多用されたことから、名門ゴルフコースの会員権が資産になっていきます。相場が立ち、期限がくる前に売買するか、引き続き所有するもので、預り金を受取るものではなかった。
 企業でも個人でも、少し金ができる、利益が出たときの投資先として会員権を買うということが、ごくごく当り前のことと考えられていました。会員権相場も土地と同じく下がることがなかったし、土地だと、巨額の金をがいるし、下見をし、道路や日当たりや、権利関係を調べるなど大変でした。株は値の上下が激しく、へたをすると損をしてしまう。ゴルフ会員権は気軽だったのです。

 バブルの真っ最中に茨城CC事件が起きます。これは会員権というのは、せいぜい2千人を目途に発行するものだったのですが、5万人に発行し、膨大な金を集めたことが発覚したのです。原野を買収しゴルフ場にするというだけで、それを担保に金を借り、会員権で集めた金1200億円で、新たなゴルフ場建設に乗り出すという、バブル期の典型的な金ころがし事件です。



 会員を水増しして金を得る手法は、陰に隠れていましたが公然たる事実であり、買う方もゴルフをするというより、特にバブル期は投資が主体だったのです。ラスベガスの名門ゴルフ場やホテルを買収して資金の洗浄を計ろうとする、この当りも実にバブル期ですが、92年、会長の水野健は、144億円の所得を隠した法人税法違反で逮捕されます。脱税額57億円、史上最高額の脱税でした。詐欺罪も成立し、97年懲役11年、罰金7億円の実刑判決が言い渡されます。

 バブル期にはアメリカの名門ゴルフ場、特にハワイや西海岸は人気でした。その他、オーストラリア、東南アジアなど各地のゴルフ場を大量に買収し、現地でも会員権制度を採りいれようとして(日本以外では会員権は存在していない)、大反発を食らっていました。

 ある種、この事件が契機になったのでしょうか、バブルは膨らんでいましたが、会員権相場は低迷し、バブル崩壊後、暴落します。それに追い討ちをかけたのが預り金の返却という問題でした。ほとんどのゴルフ場では預り金は他の投資に回して一銭もない。殺到する預り金の返却要求により、相場は暴落を重ねて、今は最盛期の1/20くらいになってしまいました。下がり始めた頃は、株価と会員権相場の連動したグラフが発表されていましたが、会員権の下がり方が、あまりにも酷いので、そんなグラフもなくなりました。
 1990年2月の平均相場4,519万円のピークの相場から95%値下がりし、2003年6月末の236万円が最安値で14年間のバブル崩壊相場は終わったと業界的には判断されているけれど、2006年の今もゴルフ場の解散が続いています。2006年の相場を見ると小金井CCが7千万円、バブル絶頂期には10億、20億出しても買えない、まさに隔世の感があります。