投機〜絵画:マネーロンダリング資金洗浄〜


 絵画が政界資金のマネーロンダリングの手段となったのは、結構、古いことなのかもしれません。高額で値段があってないような世界ですから。知らない人のために予備的な知識を。

 政治資金規正法にひっかからないように、あるいはどういう形にしろ名前や金額が表に出ないようにするために、二束三文の、どうでもよい絵を献金する金額1億円で、予め示し合わせた画廊から購入して、政治家に贈ります。政治家などは、もらった絵を、その示し合わせた画廊に行って売る。画廊は手数料を何割かとって購入する。絵は画廊から画廊に動いただけ。金は無税で政治家の手に。これを何重に複雑にしたものが、有名な竹下首相がからむ平和相互銀行の金屏風事件です。

 バブル期に折からの欧米絵画の買い漁りと並行した形で、膨大な金が政界工作、官僚工作に使われ、絵画を使ったマネーロンダリングが行われます。月光荘という銀座の画廊を舞台にした有名な事件が起きます。月光荘はピアニスト中村紘子の母親が経営していたことで、地下1階の会員制アートクラブには、日本のトップエリートーが集まる。故・永野重雄(元日本商工会議所会頭)、故・武見太郎(元日本医師会会長)、斎藤英四郎(元日本経団連会長)、小山五郎(旧三井銀行元頭取)、岡田茂(元三越社長)、中曽根康弘(元首相)、金鐘泌(元韓国大統領)といったメンバーです。ここらへんはメルマガの東京アウトローズに書かれています。 実際の差配は母親ではなく、橋本百蔵副社長が取り仕切り、暴力団や同和の金が流れ込み、闇の力を発揮していくのです。

    
ゴッホ:ガシェ博士                        ゴッホ:ひまわり                                ピカソ:ピエレットの婚礼

 バブル期には通称、名画買いが起きます。安田火災がゴッホ『ひまわり』58億円(87年)で相場の倍の価格で、オークションで落札。世間を驚かせる。次いで大分県でレーシング場(オートポリス)に併設する美術館のために鶴巻智徳が、ピカソが1906年に描いた「青の時代」の作品『ピエレットの婚礼』を、パリのオークション・ハウスと衛星中継で結ばれた東京全日空ホテルでのパーティでこの作品を落札、75億円(89年)で購入します。
 大昭和製紙のワンマン会長だった齋藤了英がゴッホ「医師ガシェの肖像」120億円、ルノワール「ムーラン・ド・ギャレット」136億円(90年)を購入します。いずれも当時の絵画の最高落札価格を次々と更新していったのです。
 日本のバブル紳士達によって世界の絵画市場を席巻したのです。この前後に空前の絵画投資ブームがやってきます。日本が86年に輸入した美術品は700億円未満だったのが、90年には6146億円になります。やがて問題になるイトマンだけでも25億円の絵画を購入していたのです。銀座の一画廊でモネ40枚、ルノアール164枚を扱ったという話もありました。税金対策のためにルノアールを使って不動産売買まで行われました。

ルノアール
                                                    大昭和製紙 斉藤了英名誉会長
 そして「究極の資産運用法 絵画投資」という本まで出版され、一般庶民にまで投資ブームが波及していきます。89年に富士銀行とクレセゾン(セゾングループの信販会社)で絵画担保ローンが売り出され、融資額は絵画の流通価格の8割。流通価格の評価は同じセゾン・グループの西武百貨店が行うという無茶苦茶ぶり。絵画担保ローンで500億円が半年でかき集められ、日経金融新聞賞を受賞するほどのヒット商品になるのです。絵画ファンドのようなものまで生まれ、複数の人が共同出資、共有する形もありました。
 ヨーロッパでは見向きもされないようなクズの印象派の画家の絵や、日本人の好きなシャガール、ローランサンのクズ作品が恐ろしいような価格で販売され、当時のオークション会場は、絵のことを何も知らない日本人サラリーマンで埋め尽くされたそうです。 サザビーやクリスティーズのオークションも日本関係で急騰していくのです。このバブルは株の崩壊前、90年にマーケットの急落が不吉な序曲となり、消滅に向かっていきます。


 バブル崩壊によって、不良資産化した絵画が膨大な量、残されます。ほとんど二束三文で処分が始まります。消費者金融のレイクは「バブル期」に不動産開発業者・投機家に対し、絵画を担保として巨額の貸付けを行なっており、バブルがはじけて債務者が返済不能に陥ると、そうした絵画を抱え込むことになります。レイクは美術市場最盛期には6000点にのぼる絵画を所有していたとされ、以来多くが売却されますが、97年当時においても、NHKは同社がまだ1451点を抱えていると報じています。レイクがアメリカの巨大金融会社GEキャピタルに買収された時点で、所蔵美術品の売却を決め、ピカソのピエレットの婚礼も、一度も国内で日の目を見ることなく再び海外に出て行ったのです。

 興味のある方は消えた名画の行方

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