通い容器とは

 青果物は、産地からスーパーまで段ボールで流通するのがほとんどですが、近年、プラスチックの通い容器を使った流通が注目され、後にみるように多くのメリットがあるために次第に普及してきています。

 プラスチック容器には、一体型プラスチック容器と折りたたみ式容器があり、一体型プラスチック容器は利用者がプラスチックメーカーから買取、利用しており、地方市場などで卸売会社等が産地やスーパー等への貸出、回収を行う地場流通の例や、食品メーカーと産地間で利用する例など、関係者が限定された、流通する地域も限定された
閉鎖型の流通です。
 一方、折りたたみ式通い容器は、プラスチックメーカーの子会社または関連会社により、利用者に貸出(レンタル)され、閉鎖型の流通にも、市場流通のような
開放型の流通にも使用されています。
 
折りたたみ式容器                                              一体型容器

 本事業は、折りたたみ式通い容器、中でも市場流通のような開放型の流通における通い容器の管理と回収の問題を扱います。




(1)レンタル式通い容器の使用時の特徴

 レンタル式通い容器の使用時の特徴は以下があります。
@ レンタル式通い容器は、レンタル会社の方で、特定のサイズの通い容器(9種類)が用意してあり、出荷する品目に合わせて、それらの中から選択する方法となっている(図1)。
  個々の品目、等階級に合わせて製造、使用する従来の段ボール等の外装容器と大きく異なる。複数の品目で使用されることを前提にしている。
A 繰り返し、様々な産地、流通業者が利用することを前提にしている。容器にはラベル以外には、特定の品目や利用者などの表記ができないようにしている。


                   図1 通い容器一覧(F社)

B 使用時は組立、使用後には折りたたみ積み重ねられる。使用時にはラベルにより出荷時の利用者が分かるが、どのような流通経路をたどってきたものかは容器からだけでは分からない。
  使用後に積み重ねられた状態になると、よく見なければ種類(サイズの差)も分からない。ましてどの品目に使用されたものか、どの利用者が使用したかの判別は不可能であること。
  使用後に放置された通い容器は、何時から放置されたのか、どこで、誰が放置したものか分からない。

          
                     折り畳み(F社)                     回収され積み重ねられた容器



(2)レンタル式通い容器利用の仕組み

 レンタル式通い容器の仕組みは(図2)、

@ 産地への通い容器の貸出
A 産地での青果物の積込
B 物流業者を使った卸売市場への出荷
C 卸売市場から量販店センターまたは小売店に出荷
D 小売店での陳列・販売
E 量販店センターからレンタル会社が空容器を回収、または納入業者が小売店から回収し、市場の回収場所に置くと、レンタル会社が空容器を回収する
 という一連の作業となっています。
   
                   図2 レンタル式通い容器の流れ


 このレンタル式通い容器利用を支えているのは、デポジット制度です。デポジット制度とは、図3にみるように、通い容器の紛失・破損に備える保証金制度で、産地から次の利用者、そして次の利用者へと、保証金が移動していく仕組みです。保証金は商品代金といっしょに請求され、商品の移動と共に保証金も通い容器の利用者に移動し、最終利用者(空容器の返却者)は、レンタル会社から保証金が戻る形が原則です。

   
                       図3 デポジット制度


(3)レンタル式通い容器流通の特質

 レンタル式通い容器は、普及拡大の経緯から以下の特徴があります。
@ 最初にレンタル式通い容器利用の音頭とりをしたのが、大手スーパーであったことから、大手スーパーが普及拡大を主導しており、大手スーパーの流通経費削減、環境対応がレンタル式通い容器の普及拡大の主因であること
A 大手スーパーにおける通い容器利用は、産直での利用から始まり、ベンダー(仲卸等)への通い容器による納入の働きかけがあり、閉鎖型の流通を基本として形成されていったこと。その過程の中でデポジットは納入側が負担し、小売側に請求しない仕組みや、回収が担保されているということからデポジットを負担しない形態も生まれたこと
B レンタル会社と全農が共同で「やまびこくん」(通い容器の受発注、出荷報告システム)を開発し、システムを使用した場合には、実質的にデポジットを産地側で負担せずに出荷できるようにしたことから、普及が大きく進んだこと
C 卸売市場においては、一部大手卸売会社により、先進的な取組みも行われてきたが、多くは産地、仲卸等からの要望に基づき、通い容器での入出荷が行われることとなったことから、一部にはレンタル会社との契約、取り決めがない中で、卸、仲卸に利用され、レンタル式通い容器の趣旨が徹底されない場合も少なくないこと
D 大手スーパーが主導し、大型産地が対応する形で始まった関係もあり、卸売市場でのレンタル式通い容器利用は、市場によってバラつきが大きく、大手スーパーとの取引が多い東京都大田市場などでの扱いは多いが、中小スーパーや外食等、業務筋が多い市場での取扱いは少ない傾向がある。
E F社以外にS社もレンタル事業を開始し、S社はデポジットなしで貸出を行うようになり、複数の方法が並行して行われていること

 これらの問題が混在した結果、デポジット制(紛失保証金制度)に対する疑問が出されており、それは以下のとおりです。
・ デポジットは全流通関係者が負担しているのではなく、一部に偏っており、不公平感を持つ関係者が多いこと。特に契約を結んだ関係者に負担があり、契約を結んでいない関係者に負担がないことがある。
・ デポジットの精算が月単位であることから、借りた通い容器を100%返す場合においても、1ヶ月分のデポジット資金が負担となって流通関係者に残り、負担が重いという関係者が多いこと
・ デポジットのために通い容器の入出を管理する手間が大きいのに比して、中間流通に直接的なメリットが小さいこと
・ デポジット制により回収義務を利用者に負わせているが、複数の方法が並行する中で、何段階もの流通経路をたどっていくことから、レンタル会社においても、デポジットに関わる事務負担が煩雑なものとなっていること

 以上のように、通い容器流通の普及の妨げにもなっているデポジット方式についても、それに代わる仕組みをレンタル会社においても望んでいる状況があり、本事業が構築された事由の1つです。