通い容器の利用と管理

(1)通い容器の利用

 現在のレンタル式通い容器の貸出総数は、レンタル会社によれば、平成18年推定、5100万ケースあり、
内、市場流通分 30〜40% 1500万〜2000万ケース
   市場外流通 60〜70% 3100万〜3600万ケース
とされています。

 回転率は、同じくレンタル会社によれば、全体で年間5〜6回転という。この回転率は、青果物のように鮮度が重要な商品を収納する容器としては、かなり低い数値である。その理由は以下のとおりです。
@ 農協等では生産者に貸出、生産者は圃場での収穫作業に使用しているために、産地での滞留時間があること
A 量販店などで陳列用に使用していることから、店舗での滞留時間があること
B 回収場所にある程度の量が溜まるまで保管されること
C レンタル式通い容器の便宜性が認識され、普及が拡大しており、レンタル会社は量的な拡大を優先していること
D 青果物の出荷時期、出荷産地の関係から、常に一定の需要があるのではなく、変動しており、特に大品目での使用が決定すると、大きな需要が生まれ、シーズンが終了すれば、それが空容器として保管されること
E 利用者は返却しようとしても、どこに返して良いか分からない場合が少なくなく、回収拠点が未整備であることから、流通の様々な拠点に放置されており、管理の対象となっていない場合が相当数あると推定されること
F 利用者から段ボールと同様に使い捨てと思われている面がないとはいえないこと             
      等

 平成17年度通い容器循環システム実証事業によれば、出荷後1ヶ月で6割が回収され、3ヶ月で8割が回収され、全量回収に半年弱と推計されています。貸出以降、理論上、35.4日の回収でありながら、回転率が5〜6回程度に留まるのは、先に述べた理由の中でも、通い容器の急激な普及拡大によるものと推測されます。
通い容器の回収率や回収日数がレンタル会社においても、あいまいな数字しか出せないのは、返ってきた容器が、どこの誰に何時、貸出したものか、が分からないことが大きく、利用者の注文に応じて、貸出されていくため、流通各段階の滞留量や破損・紛失量の把握が困難で、非常に大まかな数値の把握しかできない状況です。
 一方、市場においても青果物の入った容器は滞留することなく出荷され、全体量の把握を難しくしていることと、回収されてきた空容器も、市場のあちこちに置かれていることがままあり、全体把握が難しい。

 大手スーパーにおいても、陳列容器として使用している分、バックヤードでの滞留分、配送センターでの回収待ちの空容器などがあり、毎日、流動しているために全数把握が非常に難しい。


(2)通い容器の管理

 レンタル式通い容器の貸出においては、最初にレンタル会社、産地、卸売会社の三社で、文書による契約ではないが、利用取り決めが行われ、末端の小売店舗の特定なり、回収責任が定められています。しかし、実際の商品流通においては、以下の状況があります。
・ 青果物であることから、鮮度が価格の決定要因であり、何らかの事情で過不足が生じた場合、容器の如何にかかわらず流通させており、利用取り決め以外に仕入れ、販売していること
・ 青果物が低価格商品であり、容器は貴重なものという意識は低いこと
・ 中間流通業者にとって、空容器の入出を管理する意味が見出し難いこと

 レンタル式にしろ、自社で購入して流通させている方式にしろ、どのタイプの通い容器においても、貸出し数と返却数の把握が管理の大部分で、通い容器流通のモデルとなっている通い容器は、ドイツの環境政策のデポジット制を契機として始まったことから、個々の流通段階での通い容器の入出荷数の管理を行っている例は非常に少ない。
 その理由は@閉鎖的流通に使用し、紛失が少ない、A管理の手間が大きいにもかかわらず、必ずしも回収率の向上に役立たない、B静脈物流特有の関心の低さと考えられます。
 現在の我が国の通い容器レンタル会社の管理水準も、貸出と回収に限定されたもので、デポジットが機能している部分についてのみ、入出荷のデータを得て解析している状況で、先に指摘したように流通のほんの一部でしかない。