(3)建値市場

1)ルール

 市場というのは需給調整を価格で行う、つまり物が不足している時は高く、物が溢れている場合は安くが原則、つまり価格形成が市場の重要な機能です。域内に同一品目について複数の市場が並立には、各地での需給アンバランスがあり、物流や通信手段に制限がある時代には大きな意味がありましたが、物流や通信手段が高度化された現代においては、価格決定機能を持つ市場=建値市場は極めて限定されたものになり、それ以外の市場は建値市場の付けた価格を基準にして取引を行う形になります。

 現在、相当数の市場が存在しますが、建値市場は食肉では芝浦、水産では築地、青果は大田と大阪の2箇所になっているのではないかと思われます。国内はほぼ集約化された状況です。ただ厳密に言うと、全品目が建値市場で決定するかと言うとそうではなく、もともと地域によって認める価値が違う場合は、微妙な品質の差異を基盤にした価格体系を持つ場所が建値市場になることが多くあり(量ではない)、例えば青果の業務用、ツマモノ類は築地市場が建値を、ブリ、ハモは大阪が建値を作るとされています。産地的な感じが濃厚ですが下関がフグの建値、弘前がりんごの価格を決めます。その他の市場は建値市場に準拠した形で価格を決める。その際に価格を高く設定しようが、低く設定しようが、それは個々の事業者の経営であることです。

 建値を作れると言うことが市場の個性、価値を高めることになりますから、今後はどこの市場も同じような商品だけを扱うのではなく、個性化競争が起きてくると思われます。

 建値市場におけるルールは国が決めるのではなく、本来、当事者が決めるべきだとは思いますが、理想を言っていても始まりませんから、国の関与は避けられないでしょう。

 現在の市場法を貫いている荷受と仲卸の事業範囲の区分、公正・公開・公平の原則が流通環境に合致しなくなっているし、生産者も消費者も、大歓迎している原則ではなくなっているという問題が、最初の難関です。

 出荷者側には、コストの意識があり、市況の変動によるリスクを背負いきれない形です。一方には安くても沢山は買わない消費者、スーパー、外食がいて、価格が需給の変動を吸収できない構造があるということです。現物市場の価格によって需給調整しようということ自体が否定されている、この現実を見つめないと、どこで需給調整したら良いか、市場機能とは何かが問われているのです。建値市場がどうのこうのと書いていますが、建値の意味も実はかつてのものではありません。
 在庫によって需給の変動を吸収する形が生鮮品でも生まれて来ていることです。流通チャネルのどこかで調整する形であり、スーパーの週間値決めに対しては卸、仲卸の在庫で調整しています。本来は、産地側・メーカー側が負担するのが、通常の姿ですが、産地側でリスクを背負う形は確立していない段階です。

 現在の最大の問題は、市場が作る建値ではなく、スーパーのバイイングパワーに押され、デフレ下の競争が生産を維持する限界まで価格を押し下げている現実です。生産者に大きな負担を強い、市場関係者にも大きな負担です。市場に価格決定権を取り戻すことで、弱体化した生産を立て直し、建値市場を再建することが必要です。