2.現実の市場経営

 市場経営の理念は、農水省の官僚が決断すれば、実現不可能なプランだとは思っておりませんが、しかし、これだけの思い切った転換が簡単にできるとは思えません。とすれば当座、どうなっていくのかも問題でしょうから、そのことについて述べていきます。

(1)市場経営の形

(第一段階)
 現在、地方の中央市場は地方市場に転換していくことが積極的に推進されています。地方市場への転換で、荷受、仲卸の役割分担は変容し、互いに卸売会社として競合していく形で、取引規制はなくなり、施設整備も、全面的に市場業者に委ねられていくでしょう。中央市場で残るのは東京、大阪、名古屋など大都市、建値市場とそれに近い市場のみが中央市場として生き残ると予想されます。
 行政は大都市以外では生鮮品流通には関わらない形になると想定され、ほぼ地代または施設使用料という形の不動産収入に限定すると思われます。関与する人件費が減れば空き店舗の問題も、行政の方では大きな問題とはならずに済みますし、市場の繁栄に気を病むこともなくなります。一部では市場用地の売却も視野に入ってくると思われます。


(第二段階)
 自由を得た地方市場の卸売業者は、大都市市場のマーケットへの侵食を行うと考えられます。大都市市場は今日のような圧倒的な地位ではなく、次第に取扱量を減らしていく可能性が高く、全国流通商品の建値は、基本的には市場から離れ、市場に入荷する量は次第に減少する形が想定されます。取扱金額を基準とする大都市内での市場運営も、次第に負担が重く、行政はどのように赤字を補填するかを苦慮することになるでしょう。
 その意味では、遅かれ早かれ、行政は生鮮食料品の市場運営から手を引いていく形になっていくと考えます。地方の卸による大都市市場のマーケット侵食は既に始まっていますが、それでも建値市場の市場業者に脅威を感じさせるには十年近い年月が必要と思いますから、まだ、時間は充分にあり、中央市場荷受は地方市場の子会社管理方法を改め、機能分担を進めていくと考えられます。
 地方市場の多くは、経営の不備や他地域から進出する卸によって淘汰され、次第に数を減らしながら、青果の長野県連合青果、水産の丸一産商のように大規模化、広域化を進め、大都市の卸売会社と対抗していくでしょう