卸売市場と地場産品

水産物

 大手水産会社を中心とした遠洋漁業は200海里規制以降、輸入品に代替され、日本の漁業は近海及び沿岸漁業に重点を移したが、資源の枯渇や生産者の高齢化・後継ぎがいないことを背景に衰弱すると共に、食肉に比べて高額であることを主因に、需要そのものも大きく減退している。先に述べたように地魚に注目が集まっても、生産基盤、産地市場などの流通基盤が衰微する中で、大きな広がりを持つには至らなかった。それでも、かつて安い魚の象徴であったアジ、サバ類はブランド化などの影響もあって、地魚も高額で取引されるようになってきており、百貨店や高級スーパーでは売り物の目玉になっている。
 漁港に隣接した市場においては、地物を入荷に合わせたセリを行うなど、市場の活性化の目玉にしようという動きもわずかづつではあるが出てきているが、不安定な入荷を巧く使った販売や地域の食文化に合わせた流通加工はこれからの段階である。

 水産物の地ものの流通等の動向(アンケート)
 
 水産物の地ものの流通等の現状(現地調査)


青森市場

下関市場

 水産物の地ものの新しい動き

 本調査では、来訪していないが、数年前から、大手量販店が、島根県や山形県などの漁協から直接仕入れた天然魚を、各地の店舗に販売を行っている例が出て、注目されている。

 最初に取組んだ漁協とは、月5回、その他の漁協は月1〜2回の決められた日に、量販店専用とされる網から水揚げした魚を全量買い取るもので、定置網漁が基本で、小型底引きやまき網で水揚げした魚をも追加する形となっている。
 量販店は買い取った魚を漁港から物流センターに運び、地域の数十店に配送する。漁の翌日には店頭に並ぶ形態である。
 捕れたままなので魚の種類やサイズは様々あり、小さ過ぎたり、数が揃わないもの、市場に出回らない「未利用魚」(すそ物)も多くあるといわれている。
 未利用魚は水揚げの3〜4割あるとされ、一般には養殖魚の餌など使用するもので、未利用魚も買い取り対象となっていることで、市場関係者からは、この大手量販店の取組みに疑問を呈する場合がほとんどである。
 ただ、この取組みに注目されのは、量販店が売る努力を行えば、供給側の、これまで否定されがちな規格が揃わない、量がないという課題をカバーできる点である。