生産・流通と加工調製(コンシューマー・パック)


 遠洋漁業から輸入品への変化、養殖の広がり、冷凍品の普及、干し物からチルド食品への移行などの変化から、スーパーにおける水産物販売の主流が、ある程度の見込み・計画できるものに大きく切り替わってきた。また、消費者も水産物の調理技術や魚を見る目、判断評価する力が衰えてきたこともあって、スーパーで販売される水産物の魚種が次第に狭まる傾向があり、鮮度よりも便宜性に重点が置かれる傾向になっている。
 スーパーは、より簡便に料理ができ、買い易い単位での販売を目指し、ほとんどがコンシューマー・パックされた商品となっている。


水産の加工調製(コンシューマー・パック)

 水産物の加工調製作業は、個々の店のバックヤードでの作業(インストアパック)から始まったが、生産性やパートの確保に難題を抱えたが、青果物と違い、鮮度や衛生管理の問題があり、簡単にはアウトパックへと移行しなかった。
スーパーの鮮魚バックヤード
食品商業90.8

 それでも80年前後に先進的な一部大手企業では、アウトパック、中でもプロセスセンター(PC)と呼ばれる生鮮品を集中的に加工調製する施設を運営する方法が生まれてきたが、アウトパックの生産性の高さは認めても、鮮度・品質問題をめぐってインストアパックか、センターパックかの結論は容易には出なかった。
 しかし、人件費の高騰や多品種化による売り場増床の圧力が高まる90年代には、次第にアウトパック、店外で加工したものを販売する形態が強まっていく。そして水産物販売の主体がチルドの加工品、冷凍品、養殖魚になり、天然物を丸で販売することが、減少し、輸入品の割合が高まるに連れて、アウトパックの傾向はより強まっていくことになった。この時代に国内大規模加工場が建設・稼動したが、主な担い手は産地市場の出荷仲卸、消費地の仲卸であった。
スーパーのPC

 90年代に、東南アジアで外食産業が焼き鳥の加工や養殖のエビの加工を行うようになり、冷凍品で国内に持ち込まれる方法が広がっていったことから、スーパーでも同じように焼き鳥や加工された冷凍エビが販売され、消費者から大きな支持を得るようになる。
 これを契機に冷凍品を中心に各種の魚介類の加工を海外で行う形が普及していった。国内では刺身需要が拡大し鮮魚では大きなシェアを占めるようになった。ここでも回転すしチェーンが海外での加工を進めていたこともあって、スーパーはこれらを利用することも多くなった。
 2000年代になると、東南アジアから中国への加工場シフトが、主に人件費要件で起き、従来、国内産地や消費地にあった加工場がコスト面で対抗できなくなったことから、国内の多くの加工場は海外に移転、あるいは閉鎖・廃業し、国内の加工調製能力は激減した。
中国山東省水産加工場

 その後、不況を背景に、競合が激化し、各量販店は他店との差別化を志向する形で、惣菜化、多品目化が一層、進展し、消費地パックに、再度、注目を集め、中でも下処理を外部化し、店舗ではカット、盛り付け程度に絞れば、売れ行きの変動に合わせて迅速な対応が可能になることから、市場などに対して下処理加工などの加工調製ニーズが高まっている。わずかに残っていた加工場には注文が殺到している。
 一方、飲食店におけるチェーン型の回転すし、居酒屋の力が増し、セントラルキッチンでの加工や海外での加工が普及し、対抗する飲食店のため一部の仲卸は、飲食店側の人手不足に対応するために、三枚卸などの加工調製をして納品する形態が出現し始める。


水産物の流通の中の加工調製(コンシューマー・パック)
 水産物流通の中で加工調製=コンシューマー・パックは、多様なタイプが併存する形であり、魚種によっても異なり、国産/輸入、鮮魚/冷凍/塩干での違いがある。
 天然の鮮魚の場合は、産地市場で揚がった魚は、産地市場の出荷仲買や消費地市場の卸・仲卸によって量販店に供給される場合もあるが、量販店(スーパー)のPC・塩干センターやベンダー、あるいは高い鮮度で販売するために店のバックヤードでコンシューマー・パックされることもある。
 養殖魚の場合は、活魚で市場で取引され、市場業者によって三枚卸などしてスーパーに納品する場合と、スーパーのPC・塩干センターやベンダー、あるいは店のバックヤードでコンシューマー・パックする場合がある。これは主として刺身であるが、加工メーカーで煮魚・漬け魚・焼き物用として一時加工する場合がある。冷凍魚の場合も同じルートで流通している。塩干品は小分けし、再包装があり、市場ルートで流通する場合と、ベンダーやスーパーのセンターに納品する場合がある。
 外食は市場の仲卸を通じた販売が主体で、えら・ハラ抜き、三枚卸などをして納品される。この他に加工調製を海外で行う例が相当量にのぼっており、北洋や太平洋などで収穫された魚介類を、中国やタイなどの海外の加工基地で、日本のスーパーのスペックに沿って加工し、日本に持ち込まれてくる三角貿易スタイルのものもある。
 本事業では市場関係者が行う鮮魚・養殖魚・冷凍魚の加工調製(コンシューマー・パック)を対象としている。市場にも中央市場と地方市場があり、その両方を調査している。