新宗教

 精神世界ブームは、ほわほわした雰囲気を楽しむものから、それに満足できずに明確な対象を求める人々を産み出していきます。70年代末から80年代初めまでは、基本的に好意的にみられる状況があり、精神性を求める運動として捕らえられています。この祝福王という漫画は、大きなヒットではなかったですが、この時代の気分を伝えています。
たかもちげん「祝福王」




 この雰囲気は既成の宗教というより、それまでにもあったカルト宗教系を勢いづかせていくことになりました。この時代の特徴はスピュチュアリズムで、1970年代以降に設立されたもの、あるいはその頃からその存在が急に世間に知られるようになったもので、現在、ひじょうに活発な活動を展開しているものを指します。具体的には、白光真宏会、GLA、幸福の科学、コスモメイト、真如苑、さらにはキリスト教系の統一教会などです。

 中でも大きな話題になったのは、信者以外の一般人に対して、恐怖感を煽り、価値のない壷や多宝塔を高額で売りつけるなどする詐欺を、信者に強制して巨額な献金を集めた「統一教会」です。

世界基督教統一神霊教会(公式)  統一教会(Wiki)
 70年代から大学内での布教やら、信者による霊感商法が話題になっていましたが、何と言っても、この時代に大きな注目を集めたのが合同結婚式でした。タレントの桜田淳子や新体操で美人で人気のあった山崎浩子(式後、すぐに脱会)が合同結婚式に参加し、教祖である文鮮明の指示によって見ず知らずの男と結婚するということで大騒ぎになりました。以下は統一教会のソウルで行われた合同結婚式の写真です。
教祖夫妻写楽1983.4





桜田淳子                                山崎浩子
 統一教会の罠にはまった二人ですが、山崎浩子は騒動の中で結婚は実質的に行われなかったけれど、桜田淳子の方は脱会することなく、結婚生活を続けていくことになりました。本人の望みがどうあれ芸能界から放逐される結果となりました。
 統一教会で問題になったのは、その教義というより、信者をマンション等に囲い込み、信者の獲得と同時に、先祖の霊が祟っている等と称して数十万、数百万の高額の壷や多宝塔などを売りつける霊感商法でした。信者となれば、仕事は辞め、家族からは離れ、犯罪まがいの商品を売り歩くということで、家族は如何に本人を取り戻すか、洗脳を解くかが大問題となって、多くの社会騒動を巻き起こしていくことになります。霊感商法の最大のターゲットは日本の一般人であり、莫大な献金が韓国に流れたといわれています。合同結婚式の対象となったのは多く日本女性であり、嫁の来手がない韓国の男に嫁がされ、悲惨な運命となりました。
別冊宝島「救いの正体」
 統一教会は、対共産主義の防波堤とする勝共連合との関わりが古くからいわれ、それにも拘わらず、やがて北朝鮮に接近するなど、かなり政治的な裏も噂されるものです。
 まだ、影響力は維持していますが、文鮮明自身もアメリカで収監されたり、病気の噂もあり、教盛はだいぶ衰えてきています。キリスト教の一派でありながら先祖がどうのこうのという辺りや、ローマ法王をなぞらえた様な衣服といい、実にまぁ、ウリスト教そのものです。宗教性は分かりませんが、韓国のムーダンの流れを汲むぐらいのカリスマ性はあるのでしょう。

 その他、次々とこの時代に新興宗教が起きてきます。戦後、すぐの混乱期にもあったことが繰り返されるのは、社会不安というよりも、神秘主義への関心の高まりという流行でしかありませんでした。新宗教で一番注目を浴びたのは阿含宗、希望の科学であり、そしてやがて暴発し解体されることになるオーム真理教です。前の二つは信者を大量に集めたこと、独特の布教で有名になります。これまで見てきたカルト宗教がキリスト教を基盤にしているに対して仏教であることに特徴があります。

阿含宗(公式HP)阿含宗(Wiki)
 桐山靖男によって創設された阿含宗が、詳しいことは分かりませんが、阿含宗が新宗教ブームと、この時代の精神世界にかかわるメディテーション、タントラあるいはチャクラという言葉を広く若者の間に流行していく源泉ではないかと思います。パフォーマンスの派手さもマスコミ的には大いに話題となるものでした。オーム真理教の麻原も一時、阿含宗に参加していたことがあったといわれており、オーム真理教の幹部にも阿含宗から移ってきた人がいたりします。オーム真理教の源泉となる部分もありますが、終末を唱えるオーム真理教との差異は大きく、阿含宗の時代への影響力と言えるのではないかと思います。


阿含宗の大柴燈護摩供

 多くの新宗教は、仏教、キリスト教、神道、それに祖先崇拝を混ぜ合わせた教義を持つのが特徴で、外部から見ていると支離滅裂ですが、霊的なものとして、グチャグチャに織り込みます。
幸福の科学(公式) 幸福の科学(Wiki)
 教祖である大川隆法の書籍が膨大な量、本屋に積み上がったのが、最初に気づいたことでした。その後、週刊誌などで東大卒の教祖、膨大な信者を集めてのイベントが報道されました。それでも世間的には、そういう宗教もあるのだくらいでしたが、幸福の科学が世間の注目を集めるのは、1991年(平成3年)の講談社フライデーでの反幸福の科学キャンペーンに対抗して「講談社フライデー全国被害者の会」で放送作家景山民夫と歌手小川知子とともに講談社の書籍を焚書にするパフォーマンスを行ったことです。それまで比較的クールで知性的と思われていた二人の行動がバッシングと共に盛り上がりました。

 教理の内容などには私自身は興味がないので、Wikiや公式サイトをご利用下さい。ともかくこういうものが異様に流行したというだけです。

景山も悪くなかったのですが、みそを付けてしまいました。数年後には死んでしまいました。


オーム真理教
 やがてサリンを製造し、自らハルマゲドンを作ろうとする異常さが出てくるのですが、この時代は奇妙な明るさに満ちており、新宗教のディズニーランドとも言われました。この結末はバブルの時代/妄想の暴発を参考にして下さい。ハルマゲドンという自らの予言に囚われていくのは、選挙への出馬と、惨敗が切欠といわれ、オーム真理教は以降、強度にカルト性を高める集団と化していきます。

オーム真理教東京本部 別冊宝島「今どきの神様」から

選挙での立候補  信者が麻原の着ぐるみを着ている。
麻原の子供たち



宮台真司「終わりなき日常を生きろ


GLA:高橋信次  公式サイト
 新宗教の中では最も良心的といわれているようです。スピリチュアリズムからすると、相当に高度とされているようです。まぁ、私なんかの俗物にはまったく分かりません。高橋信次氏の著作は何故か幸福の科学から大量出版されています。
 また、芸能人が多く入信し、お寺の周辺の掃除をすることで有名になった真如苑 公式サイトがあります。中国語での案内ですが・・。


崇教真光 公式サイト 大本教の流れを組む新興宗教です。下にある世界真光文明教団と教祖は同じで二代目になってから分裂したもので、手かざしで有名で、駅前などで信者から「あなたの幸福をお祈りさせて下さい」と頼まれると、頭上で手かざしをしてくれました。私も経験がありますが、ただ、これは世界真光だったかもしれません、区別が付きません。入院している時に、植物人間になった患者に、親族が頼んだのでしょう、4,5人が訪れ手かざしをしていました。効果はありませんでしたが・・・。写真の神殿(地上3階、地下1階)には300億円が投じられたとビデオでは言っています。



世界真光文明教団 公式サイト 下の写真は躁(狂)的旅日記さんのブログから拝借しました。


念佛宗三寶山無量壽寺 公式サイト 全然、知らないのですがネット上で見つけました。


 顕正会 公式サイト というのは、よく知らないのですが、危険な宗教とネット上では指摘されています。




摂理 公式サイト
 いわゆる韓国キリスト教の一派で、『首都圏や関西で、大学生ら20代の若者が、韓国人男性=海外逃亡中=の教祖に絶対服従を誓う新興宗教集団(カルト)に引き込まれ、マンションの一室で共同生活を送ったり、信者同士の合同結婚式に参加させられたりしていることがわかった。集団には、約2000人が登録されているとみられ、少しずつ勢力を拡大している。教祖の女性信者に対する性的暴行も常態化しており、これまでに100人を超す学生らが被害に遭ったとされる。脱会支援を進める日本基督教団や弁護士らには、「子どもを取り返したい」という親らの相談が200件以上、寄せられている。 』朝日新聞 2006年07月28日
 この他に性的スキャンダルで潰れたものに「自然の泉」という浅尾法灯が始めた新興宗教では、教祖のホモ・セクシュアル行為が糾弾されました。ここにはバブル時代に詐欺として告発される福永法源も在籍したといわれています。



 カルト性の強まり、洗脳・マインドコントロール被害の拡大の中で、それらの被害を防ぐため情報交換のサイトが作られます。宗教問題研究会はその一つです。カルトは創価学会以外のやばい宗教というまとめサイトがありましたのでご参考に。

 その他にカルト系の宗教以外でも小さな神々とよばれるものが大量発生していて、内容もよく分からないので整理も出来ない状態です。

朝日新聞社会部「現代の小さな神々」

 どのカルト宗教も献金を得て、馬鹿でかい建造物を競っており、その中のいくつかを土田ヒロミさんが写楽84年4月号で発表した写真を掲載しておきます。土田さんがどういう基準で選んでいるかは分かりません。ここでは既存の創価学会やPL教団、世界救世教などは除外してあります。

善隣教 公式サイト

神慈秀明会・・世界救世教の分派教団 公式サイト


霊波之光教会 公式サイト

妙道会教団・・霊友会系 公式サイト



 新宗教のエネルギーは海外進出も起きてきます。創価学会は相当に以前から、統一教会も韓国から日本、アメリカなどに広がった様にです。オーム真理教はロシアに拠点を持っていたことが武器調達のルートとして注目されることにもなりました。

 新宗教ブームの少し前にイエスの方舟事件というのが起きます。信者を洗脳し、家族から切り離して教団の中に閉じ込めるという感じの宗教の最初はイエスの方舟といわれたものであったと思います。キリスト教の勉強会のような形から始まった会が、不幸な女性たちの駆け込み寺のような形になり、10人程度が集団で家出をし、千石氏と行動を共にすることが起き、家族の方が奪還を図ろうと警察に通報したことが事件の契機となりました。この事件自体は新興宗教ともいえないものでしたが、若い娘ばかりであったこと、信者の女性達がナイトクラブで働いて教祖の生活を面倒をみたということで、マスコミが大騒ぎし、世間の注目を集めたためです。
 カルト的な要素が少ない事件なのですが、教祖が信者を操る形で、宗教共同体を作る最初となったことから、何かと言えば話題として取り上げられました。

イエスの方舟千石イエスと呼ばれた千石剛賢
  右は倒れた千石を取り囲む信者達。資料:別冊宝島「救いの正体」


ものみの塔  エホバの証人(公式サイト)
 この時代のものみの塔は、他のカルト宗教に比べれば、この運動のピークでは、ありません。むしろカルト宗教の害が糾弾される80年代の後半に、代表的なカルトとして取り上げられる形です。それでも輸血の拒否と命を助けてもらった医師を訴え、医師が裁判で負けるという事件があり、マスコミの絶好のネタにされていました。
 
別冊宝島「救いの正体」から  右はニューヨークにあるものみの塔本部

ヤマギシ会 公式サイト
 ヤマギシ会も、この時代にそれほど会員を増やしたものではなかったでしょう。ただ、洗脳というのが話題になり、ヤマギシ会も洗脳じゃないかということで、槍玉に上がったという感じがします。社会運動で、独特の生活スタイルを要求するものですが、果たしてカルトと言えるのかは私には分かりません。


 この一連の騒動の中で、ビートタケシが社会批判を込める形で映画「教祖誕生」や、千石イエスを題材にしたTV番組「イエスの方舟」を作っています。