スーパースター Super Star

 この時代の世界のスーパー・スターといえば、マドンナとマイケル・ジャクソンであったでしょう。歌ばかりではなく、そのステージ、ファッション、煽情的なダンス。世界中が熱狂し、我が国でも膨大なファンを生み出します。
 この二人に共通するのは、二人とも肉体改造を積極的に行ったことです。マドンナはデビュー当時のふっくらとした体型から、マリリン・モンローを目指しましたが、モンローのような女性的な柔らかさではなく、素晴らしいプロモーションと筋肉を身につけます。マイケルは白人の子供を目指して脱色と整形、そして痩せた肉体を手に入れます。
 これらの肉体改造をファンの前に見せ付けたことも特徴であるでしょう。つまりこの時代の肉体への欲望、金をかけ、たゆみない努力をすれば理想の肉体を手に入れることができるのだという実例であり、時代に先駆けるものでありました。

 日本において、この二人はどうであったろうかと言うと、私には、それほど身近で親しいものではなかったように思います。二人をまねしたファッションも、物まねさんも多くありません。まねできなかったことも大きかったのでしょう。
 以降のことを考えると、60年代のビートルズ、70年代のロック・スター達に続く、世界の若者達を惹き寄せる、最後のスターであったかもしれません。

Madonna, Like a virgin   Erotica
 マドンナは当時から、過剰な性的な演出が話題になっていました。ポップスの世界にあからさまな形でSMが持ち込まれた最初のスターでありました。その過剰性故に多くの写真家やファッションデザイナーを惹き付けて行くことになったのではないか。あるいは逆に彼女を取り巻くグループそのものが、そういう傾向を濃く持っていたのかもしれません。時代が要求する「変態」に同調するのです。
Like Prayer

 
写真はハーブ・リッツ                ヘルムート・ニュートン


Michael Jackson
 マイケル・ジャクソンの場合は、その動き、身体、整形を繰り返した様は、性的な部分もありますが、むしろ人形のイメージに重なり合うものです。玩具性が惹きつけて行く。マドンナと変わらない時代性があります。
東京にて
bad


thriller


beat it


billeyJean


 ロックコンサートが巨大なビッグビジネスに成長していくのも、この時代の特質です。かつてビートルズが作った数々の観客動員記録が塗り替えられ、ステージも巨大化します。これはローリング・ストーンズの公演におけるものですが、マドンナもマイケル・ジャクソンも同じというか、これ以上のものがあり、過剰な演出が伴ない、既に音楽ではなく巨額な投資と巨額な利益をもたらすものになります。 これを動かして各地で興行する費用も莫大なものなっています。


雑誌 FP 1990.1より