こちらは日本の居酒屋では最初のチェーンである養老の瀧です。56年には横浜に店を開いています。フランチャイズを始めたのが1966年ですから、吉野家、小僧寿しの創業時期ですから、養老の瀧は非常に早い。下の写真は初期の頃の店です。非常に繁盛している様子が見れます。店は錦糸町です。養老の瀧がチェーンの始まりとみなされないのは、規格・標準化による大量出店、大量販売とは遠いためと思われます。こういうタイプでは鮒忠もあり、現代の居酒屋チェーンが出現するまでは、大きな勢力をなしていました。
写真は週刊朝日1965.5

上2段はすかいらーく、下2段はロイヤルホストのメニュー1979年

日本の外食産業 Foodservice in Japan

 外食分野における海外企業の参入規制の撤廃(第二次資本自由化1969年)を受けて、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、ミスタードーナツなどの外資系の企業参入が始まる前後から、我が国の中でも、その手法を模倣した企業が創業され、爆発的なマーケット展開が始まります。創業は70年前後ですが、実際の発展は70年代の後半から80年代です。
マクドナルド1号店(銀座三越前)写真は「日本マクドナルド20年のあゆみ」から

 以下は現在も生き残る代表的なチェーンですが、創業から10年くらいの間は、同業者が入り乱れての乱戦で、数多くのチェーンが姿を消しています。現在、数百の店舗を経営する企業のほとんどが、この頃の創業です。創業者は伝説的なカリスマを帯び、巨万の富を得、ジャパン・ドリームを地で行く成功を収め、業界を君臨しますが、停滞の時代に入って、創業者が会社を追われるという事態も、やがて起きてきますが、その話は本題ではありません。この爆発的なブームは、多くがフランチャイズ・システムで店舗展開をしたことで素人でも簡単に創業できる、店を持てるということで、全国を巻き込む巨大なブームになります。この熱狂は、過去にも将来にも起こりえないものでした。
 一方、消費者からみた時、自家用車に乗って家族で食事に行くというスタイルが爆発的に拡大していくことでありました。ニュー・ファミリーという言い方もできました。小学生くらいの子供といっしょに土日は郊外でファミレスで食事。若い者は都会の真ん中でファストフードを歩きながら、スタンドに座ってパッパと忙しく食べるスタイルが確立していきます。外食がハレの行事だったものから日常に組み込まれます。

 やがてアメリカのように主要幹線道路沿線にファミリーレストランや代表的なファストフードが林立し、ファミマ通りが出現し、その後を追ってロードサイト・リテイラーと呼ばれたディスカウントストアが出店してきます。中でも神奈川-東京-埼玉-千葉を都心部を環状に結ぶ16号線は有名です。それでもこれらの外食産業は依然として、おしゃれなものという認識が濃くあり、バブルが崩壊して安売りに走るようになってから、どうやらこうやら普通になっていく感じです。下のリストは経営の内容は大きく変わってしまった場合も多くありますが、70年前後に創業し、とりあえず店の名前などが残っているチェーンです。

FF(ファストフード)系
(外資)
 日本マクドナルド(創業:藤田田、藤田商会、1971年)
 日本ケンタッキーフライドチキン(創業:大河原毅、三菱商事、1970年)
 ミスタードーナツ(創業:ダスキン、1971年)
(日本)
 モスバーガー(創業:櫻田慧、1972年)
 吉野家(創業:松田瑞穂、1968年)
 松屋フーズ(創業:瓦葺利夫、1968年)
 小僧寿し本部(創業:山木益次、1968年)
 京樽(創業:田中四郎、1968年セントラルキッチン設営)
 ホッコク(創業:青池 保、1968年)
 リンガーハット(創業:米濱豪、1974年)
 ほっかほっか亭(創業:田渕道行、1978年)
 ドトールコーヒーショップ(創業:鳥羽博道、1972年コロライド開店)

モス創業時復刻版店舗

FR(ファミリーレストラン)系
 すかいらーく(創業:茅野亮、1970年)
 デニーズ(創業:イトーヨーカドー、1973年)
 ロイヤルホスト(創業:江頭匡一、1971年)
 村さ来(創業:清宮勝一、1976年)
 つぼ八(創業:石井誠二、1973年)
 テンアライド(創業:飯田保、1969年)

 GMSがアメリカにもあるけれど日本独自のものであったように、ファミリーレストランという業態も日本独自のものでありました。アメリカでは似たような業態にコーヒショップがありますが、90年代には衰退し、過去のものとなりました。一方、日本では、その後も隆盛を続けます。しかし21世紀に入る頃から衰退し、ナンバーワン企業のすかいらーくも身売りされるなど、マーケット環境は厳しいものになりました。
 上のリストに居酒屋のチェーンが入っているのは、90年代に入る頃から、食事メニューを積極的に導入、客層も家族中心になり、酒が飲めるファミリーレストランという雰囲気が濃くなるからです。

すかいらーく1号店(国立)

最も普及した郊外型店舗